サウジアラビアの新聞がイスラエルの核兵器保有を、擁護する内容の記事を掲載したことで、イランがこれにクレームを付けた。
イランは先週核燃料の濃縮に成功し、25パーセント程度だった濃縮度を、50パーセントにまで高められている。このことは、イランが核燃料の国産化に、ほぼ近づいてきていることを意味している。
以前からサウジアラビアは、イランが核兵器を持つのであれば、自国も核兵器を持たなければならない、と主張してきていた。イランの脅威を強く感じているサウジアラビアとすれば、当然の反応ではあろうが、そのことは将来、中東の幾つもの国が、核兵器を保有するようになる、可能性が高いということであろう。
例えば、技術的にはエジプトが可能であろうし、資金的には、ほとんどの湾岸諸国は、核兵器の購入が可能であろう。そのような危険な状態が発生しないためには、たとえ、イランが核兵器を製造する意志がなくても、核開発は将来の核兵器保有に繋がるとして、非難する必要があるのかも知れない。
今回、イランがサウジアラビアのアッラーイ紙の、ユーセフ・クワイリト副編集長が書いた記事に、クレームを付けたのは、ユーセフ・クワイリド氏の原稿のなかに、イスラエルが何時も主張しているのと、同じ文言があったからのようだ。
つまり、『イスラエルはアラブ諸国に囲まれている。アラブ諸国の人口はイスラエルの人口をはるかに上回っている。イスラエルは国土が狭いために、短期戦で勝利しなければ、国家の存亡に関わる危険性がある。従って、イスラエルは特殊な兵器を所有する権利がある。』というものだ。
アッラーイの原文を読んでいないので、確たることは言えないが、このイスラエルの論理は、ある意味では当然ということであろうから、サウジアラビアの新聞が、似たようなことを書いたとしても、それはイスラエル擁護とは、言い切れないのではないか。
イランが今回このことを取り上げた裏には、イランは核燃料の濃縮に成功した。従ってこれからは核燃料棒を輸入しなくても、国内生産したもの十分でまかなえる。ということをアピールしたかったのではないか。
サウジアラビアはイランの核兵器製造を、真剣に恐れていようから、イランの核兵器(?)対抗する核兵器という意味で、イスラエルの核兵器保有を黙認するのは、当然のことかもしれない。
ただ、忘れてならないのは、アメリカとイスラエルが過剰なまでに、イランの核開発に対する、敵対的発言を繰り返しているという点だ。この危機的状況のなかでこそ、イランにも、サウジアラビアを中心とする湾岸諸国にも、イスラエルにもアメリカにも、冷静さを保って欲しいものだ。