カダフィ大佐は『国民は誰もが家を持つ権利があり、車を持つ権利があり、銃器を持つ権利がある』と語っていた。そのため、大量の軽火器が輸入され、リビア国民はその使い方を訓練され、誰もが機関銃や拳銃を、入手できる状況にあった。
リビア各地には武器庫が建設され、そこには大量かつ多種類の武器が格納されてあった。それらの武器が今回の革命騒ぎの中で大活躍し、ついにはカダフィ大佐の命を、奪うに至ったのだ。
しかし、話はこれで終わりではない。この革命を機会に武器を手にした男たちは、銃口から飛び出す弾丸の音と、硝煙に中毒になったのであろうか。革命が達成された今も、だれも銃器を手放そうとは考えない。
誰もが明日への不安から、自分と家族を守るために、重火器を持ち続けているのだ。街中にはこの重火器を車に積んだ若者たちが、我が物顔で走り回っている。まさに傍若無人の様相だ。
カダフィ大佐の息子の一人サアーデイ・カダフィ氏は、はこうしたリビアの混乱を見てか、最近、反革命の動きを起こすと宣言し、リビア国内には多くのカダフィ支持者がいると語り、臨時政府(NTC)内部にも、仲間がいると語っている。
以前に、カダフィの隠し財宝の話を書いたが、それは二男のサイフルイスラーム氏が知っているとされ、カダフィ大佐の住居バーブ・アジージーヤ内を、探し回ったという情報が流れた。
そこばかりではあるまい。NATOと反カダフィ革命に対し、長期戦を考えていたカダフィ大佐は、リビア各地に資金と武器を隠匿しているのであろう。それが今後、次第に独自の意思を持ち始め、リビアの内政を動かしていくかもしれない。いまサイフィルイスラーム氏を捉えている、ジンタンの部族は、場合によっては、サアーデイ・カダフィ氏の反政府蜂起に、加わるかもしれない。
臨時政府は国内の安定化、選挙の実施と、西側先進国が描く計画に沿って、リビアを改善していきたいと考えているようだが、実際にはそうスムーズには行くまい。
それどころか、リビアはこれから、2転3転するのではないかと思われる。リビア国民の生活は、日に日に苦しくなっているようでもあり、社会は不安定の度を増しているようだ。
リビアよりは民度の数段高いエジプトでも、最近になって『ムシュファーヘムハーガハーリス』つまり『何がどうなっているのかさっぱり分からない』という言葉がはやっているそうだ。『革命は一体何だったのか?』と誰もが思う昨今であろう。