ブッシュ・ジュニア大統領時代に始まった、アメリカによる中東の独裁体制(?)打倒計画は、オバマ大統領の時代になっても、続けられているようだ。
述べるまでもなく、この中東独裁体制打倒計画は、チェイニー副大統領やネオコンの面々によって計画され、実行されてきたものだ。最初は、イラクのサダム体制が、2003年に打倒された。
この中東独裁体制打倒計画とは、アラブの6カ国とイランの体制を、打倒するというものであり、実際に、オバマ大統領の時代に入り、チュニジアのベンアリ体制、エジプトのムバーラク体制、リビアのカダフィ体制が打倒された。
その後も、シリアとイランがこの計画の対象に、なっているということだ。この計画ではイラク、イラン、リビア、シリア、スーダン、レバノンがその対象の体制とされていたが、これらの国以外でも、エジプトの体制が打倒され、チュニジアも打倒されている。
そうなると、オバマ大統領時代に入って、打倒の対象となる国は、8カ国ということなのであろうか。あるいはエジプトやチュニジアが、例外的に加えられているということは、これら以外の国でもありうる、ということであろうか。
今の段階で、打倒されそうな国としては、内乱状態にあるイエメンやバハレーンが挙げられるが、この二つを加えると10カ国、それ以外にも不安定化の方向にある国としては、11カ国目にヨルダンが挙げられよう。
アメリカが当初考えた7カ国の体制打倒が、8カ国で進んでおり、変革途上にあるのが2カ国、そして危険レベルに達している国が1カ国となっているのはアメリカの計算違いであろうか。
もし、アメリカの計算違いの結果だとすれば、それは今後、アメリカの中東地域における利益に、どう影響を及ぼしてくるのであろうか。
アラブ人は通常穏やかだが、激こうすると、止まらなくなる性格を、持っている。意外だったチュニジアの革命は、まさにその典型であろうし、エジプトでもムバーラク体制が打倒されるとは、デモの首謀者たちも、予測していなかったのではなかろうか。
これから先にも、似たような現象が起こりうるだろう、つまり、アメリカが想定していなかった国で、体制打倒の動きが始まり、想定していた国では、失敗に終わることもありうる、ということだ。
アメリカが想定している体制打倒対象国には、イランも含まれているが、意外に希望通りには、いかないかもしれないし、逆に、アメリカが望んでいない(?)サウジアラビアの体制に、不安定な状況が、発生してくるかもしれない。