「エジプト大統領選挙立候補者予測」

2012年2月 9日

 今年エジプトでは、革命後初の大統領選挙が、行われる予定になっている。本来は立候補受付が4月15日の予定だったが、国内で高まる『軍政から民政への早期移行』を求める声に応え、大統領候補届け出と選挙活動は、3月10日から始まるようだ。

 これまで何人もの立候補予測が流れては見え隠れしてきたが、ここで再度立候補が予定されている人士の名前を、挙げてみることにした。

:アムル・ムーサ=前アラブ連盟事務総長でエジプトの元外相。

:アブドルムナイム・アブルファットウフ=ムスリム同胞団から抜けて立候補。

:アハマド・シャフィーク=ムバーラク体制下最後の首相

:ハーゼム・サラー・アブイスマイル=サラフィスト

:ハマデイーン・サバヒー=ナセリスト

:サリーム・アルアワー=独立イスラミスト

 

 このうち最も有利なのが、アムル・ムーサ氏であろう。彼の知名度はエジプト中に知れ渡っているし、世界的にも知られている。元閣僚経験者でもあり、安定した政策が期待できるからだ。

 ムスリム同胞団を抜けて立候補するアブドルムナイム・アブルファットウフ氏はどうであろうか。彼は本当にムスリム同胞団が大統領選挙立候補を禁じたにもかかわらず、ムスリム同胞団を飛び出して、立候補するのであろうか。

 あるいは表面的にそのような形にし、裏でムスリム同胞団は彼に投票するよう、活動するのではないかとも思える。なぜならば、先の国会議員選挙や諮問会議議員選挙で見られるように、ムスリム同胞団の組織力は強力であり、大統領選挙にも立候補となれば、エジプト国内ではムスリム同胞団が、政治のすべてを抑えてしまうことに対する警戒心が、高まるからではないのか。

 もし、アブドルムナイム・アブルファットウフ氏が当選した場合、ムスリム同胞団はシブシブを装いながら、彼の復党を許可するのかもしれない。その可能性は意外に高いのではないか。

 次いで当選の可能性の高い人物はアハマド・シャフィーク氏ではないか。彼はムバーラク大統領時代、最後の首相職にあった人物だが、エジプト国内では一部の強硬派は別だが、今の状況に満足していないサイレント・マジョリテイが少なくないからだ。それ以外の候補はまさに泡沫候補に過ぎないのではないか。