「アッラーウイの危険な発言・イラクは未だ米軍の支配下」

2012年2月 5日

 昨年の12月末日をもって、アメリカ軍はイラクから、全面撤退したことになっている。世界中もそのように受け止め、イラクには既に、アメリカ軍は残留していない、と思っている。

 しかし、現実はそうではない。相変わらずイラク国内にアメリカ軍が留まっているのだ。理由は治安協力、軍人、治安軍警察に対する訓練、在イラク・アメリカ大使館と職員の警護などだ。(在イラク・アメリカ軍の数は、15000人といわれている)

 それでも、そうした説明は表面的なもののようだ。イラクの元首相を勤めたアッラーウイ氏は、イラクがいまだにアメリカの、強い影響力下にあると語った。彼によれば、アメリカ軍の撤退は笑い話でしかなく、現実は、いまだにアメリカ軍がイラク国内に、駐留しているというのだ。

 しかも、イラクに駐留するアメリカ軍は、相変わらずイラクの治安を牛耳っており、政治にも深く関与しているというのだ。アメリカの意向無しには、マリキー首相も何も決定できない、ということであろう。 

 現在のイラクは汚職が蔓延し、マリキー派の独裁が続いており、彼に反対する人士はことごとく『バアス党と関係がある。』ということで、政治の舞台から、葬り去られているということのようだ。従って、イラクは近い将来、必ず内戦が起こる、とアッラーウイ氏は断言している。

 イラクに対するアメリカ軍の駐留と、イラクの政治を大変革する意向は、周辺諸国やイランによって支持されており、確実に進んでいる。

 イラクの石油収入は、全てが安全上の問題という口実で、いまだにアメリカによって管理されており、イラク政府の自由にはならないということのようだ。

 アッラーウイ氏といえば、彼はCIAとの関係があった、と散々に語られてきた人物であり、例えそれが嘘であったとしても、アメリカとの関係が強い人物、として知られてきた。

 そのアッラーウイ氏が今回話したことは、いまのイラクが、どのようなポジションにあるのかということの、核心を突いているということではないのか、と思われる。

 イラクに駐留するアメリカ軍の存在により、イラクの政治がどれだけ腐敗しても、軍はクーデターを起こすことができない、状態いなっているということだ。それでは一体、今後のイラクはどうなっていくのであろうか。

 イラクは当面の間、アメリカの傀儡であるマリキー首相によって、統治されていくということであろう。イラクが抱える矛盾が、やがては暴発する時を迎えるということを、アッラーウイ氏は言いたかったのではないのか。