トルコのアハマド・ダウトール外相が、ワシントンのCSIS(国際戦略研究所)で講演を行い、アメリカやイスラエルが、声高に叫んでいるイラン攻撃は、ナンセンスと切って捨てた。
彼はトルコの立場を明確に語り、トルコがアメリカの唱える、イランのエネルギー資源禁輸に賛同しないことを、明らかにした。彼はトルコのガスは、ロシアとイランに依存しており、それを断つことはありえないと語り、石油禁輸もまた、ありえないと語った。
また、アハマド・ダウトール外相は、トルコが中東地域での、新たな紛争を望んでいないし、いかなる新たな戦争に対しても、それを認めることは無い、とも語った。
アメリカのレオン・パネッタ国防長官が、イスラエルのイラン攻撃の可能性について言及した『イスラエルは4月あるいは5月、あるいは6月にイランを攻撃しよう。』という発言についても、明確な反対の立場を示している。
トルコはエルドアン首相体制下で、周辺諸国との良好な関係維持を、外交の最大目標としており、その対象国のなかには、当然のことながら、イランも含まれている。
正直なところ、このトルコの立場は、ヨーロッパ諸国から無言の支持を、受けているのではないか。ヨーロッパ諸国は苦しい経済状況下で、イランのエネルギー資源を輸入できないことになれば、ますます状況は悪化するからだ。
なかでも、スペイン、ポルトガル、ギリシャといった国々は、イラン石油に対する、依存の度合いが高いだけに、これを禁輸にするということは、ますます経済を悪化させることになろう。
一見、アハマド・ダウトール外相の発言が、唐突かつ、乱暴なように思えるのだが、実のところ、多くの国々から支持されているのではないか。アメリカがそれにも関わらず、トルコに圧力をかけ、イラン石油を禁輸させようとすれば、アメリカは世界中を、敵に回すことになるのではないか。
このトルコの勇気ある行動に、日本は呼応すべきではないのか。ロシア、中国その他の国々も、イラン石油を禁輸するつもりは無いのだから。日本がそれに乗っても、例外的にアメリカから制裁を、受けることはあるまい。