「カダフィの財宝を探せ」

2012年1月31日

 カダフィ大佐は革命闘争が始まる前の段階か、あるいはそれ以後か不明だが、大量のドル紙幣や金の延べ棒を、分散して隠匿していた。それは、カダフィ大佐にしてみれば、当然の対策であったと思われる。

 カダフィ大佐は今回の革命闘争を、植民地支配をもくろむ、欧米の陰謀と断定しており、長期闘争に入る構えでいた。そのため、資金は分散して隠匿され、武器も同様に各地に隠匿されていた。

 革命が終わった段階では、大量の武器がリビアから他の国に、密輸され問題化している。エジプト経由の物はシナイ半島を経由し、ガザ地区に密輸され、あるいは船でレバノンに密輸されたと言われている。そればかりか、アフリカ諸国にも相当量が、流れているものと思われる。

 しかし、カダフィ大佐が隠匿していた武器は、それほどの価値にはならないだろう。闇で売られる武器の取引価格は、そう高くはないからだ。たとえばクラシニコフ機関銃などは、300~500ドル程度で取引されているという話だ。しかも、この武器の闇取引は危険がいっぱいであり、リスキーなのだ。

 いま話題になり始めたのは、カダフィ大佐が隠匿していた、ドル札や金の延べ棒だ。その第一の隠匿先は、カダフィ大佐が居住していたトリポリの、バーブアズイーズイーヤの邸宅内だ。そこには幾つもの隠し部屋があり、そのなかにドル札や金の延べ棒が、大量に隠匿されているということだ。

 しかし、その発見に手間取った反カダフィ側は、カダフィ大佐の二男サイフルイスラーム氏を現在収容している、ジンタンからトリポリに連れてきて、その在り処を明かすよう、命令しているそうだ。

 バーブアズイーズイーヤの邸宅には、何百万ドルもの札束があり、金の延べ棒も隠されているということだ。ここ以外にも、リビア各地にも隠匿されているのだが、その在り処を知る者はカダフィ大佐の、側近中の側近たちだけだということだ。

 そこで、サイフルイスラーム氏や元情報長官だったアブドッラー・サヌーシー氏などが在り処を知っているとして、追及されているのだ。

 ところが無政府状態の現在のリビアでは、このカダフィ大佐の隠匿物をめぐっては、ほとんど宝探しの雰囲気なのであろう。探索現場では銃撃音が響き渡り、分捕り合戦が行われていることがうかがえるのだ。

 考えようによっては、アメリカやイギリス、フランスに奪われるよりは、リビア人の手に渡る方が、いいのかもしれない。そうとでも考えなければ、死んだカダフィ大佐も浮かばれまい。