「火が点くかフランスのアルジェリア人虐殺」

2012年1月11日

 事の起こりは、フランス議会がトルコのアルメニア人虐殺を議会で討議し、それを否定する者には1年以上の投獄か、45000ユーロの罰金を果たすという結論を出す方向に、動き出したことから始まった。

 当然の帰結として、トルコ側はこの問題を重視し、フランスに抗議した。しかし、フランス側の対応はトルコの望むようなものにはならず、2月には可決される見通しだ。

 そこでトルコはフランスに対し、フランスがアルジェリアで行った虐殺は、何なのかと問い返した。つまり、歴史を遡って言うのであれば、各国それぞれに古傷があるではないか、ということであろう。

 ところが、このトルコ側の動きに対し、アルジェリア政府が待ったをかけた。アルジェリア政府とすればフランス政府との間に、余計な波風を立てたくない、という配慮からであったろう。

 すると今度は、アルジェリア国民の間から猛烈な政府に対する、非難が起こり始めた。我が国の政府はフランスに対し、屈辱的な対応をするのか、というものだ。

トルコがフランスのアルジェリア対応を取り上げたのは、何もアルジェリアに対して反フランス感情を煽ったのではなく、あくまでもフランスの動きに、自制を求めたものだということだ。

 問題はその次だ。アルジェリアでは近く選挙が予定されている。アルジェリアの内務大臣は、イスラム派が勝利することはないと言っているが、必ずしもそうではないのではないか、という雰囲気が出始めている。

 こうなると、トルコが口にしたフランスのアルジェリア人虐殺問題が、とんでもない選挙の最大の争点になるかもしれない。

 いま中東ではちょっとしたきっかけが、社会を大変革させる時代だ。各国政府の要人たちは、神経を研ぎ澄まして、言動しなくてはならない、ということであろうか。