「リビア人治療患者激増でヨルダンの病院大混乱」

2012年1月 8日

 いまリビアからヨルダンに、毎週旅客機21便が到着し、13000人のリビア人が、ヨルダン国内に滞在している。彼らは革命闘争で負傷した人たちだけではなく、よりよい医療サービスを、受けようとする人たちなのだ。

 この結果、ヨルダンの私立病院は、全ベッド数が2500あるが、そのうちの1200ベッドが、リビア人によって占領された状態になっている。当然のことながら、この結果、ヨルダンの病院は、ヨルダン人の病人や怪我人を、受け入れる余裕がなくなっているのだ。

 ヨルダン側はこの事態が発生したのは、リビア政府と治療を必要とする人たちとの間の、調整が出来ていないことにあると判断し、リビア政府に抗議をしているようだ。しかし、現状ではヨルダン側はリビア人を、受け入れ拒否するわけには行かない。問題はこれらのリビア人の治療費を、誰が支払うのかということだ。カダフィ政権の時代には、遅延はあっても結局政府が責任を持って、治療費を支払っていた。

 多分に、リビア国民はカダフィ時代と同じように、同国民が外国に治療に出かけた場合は、全ての費用を政府が支払ってくれる、と考えているのであろう。リビアがカダフィ大佐の統治時代には、エジプトやチュニジアの病院に、リビア国民は治療に出向いており、一部の特権階級は欧米での治療を、受けルことが出来ていたのだ。

 革命が達成されたいま、全ての国民はカダフィ時代の特権階級と同じように、自分の希望する国で治療が受けられる、と考えているのであろうか。それは大衆による革命が成功した結果、大衆が手に入れた権利だということであろう。

 近い将来、リビア政府はこの治療費の支払い問題に悩まされることになろうし、リビア国民に対しては国外での治療を制限するために、説明をしなければならなくなろう。

 他方、ヨルダン政府は臨時的措置として、リビア人の治療に当たっている私立病院に対し、臨時措置として治療費を、立て替えなければならなくなろう。そしてもう一つの問題は、病院のベッドがリビア人よって占領された結果、ヨルダン人が入院できなくなっている状況を、どう改善するかということであろう。