「トリポリでミリシア同士が戦闘」

2012年1月 4日

 年が明けて新年だというのに、物騒なニュースが中東各地から届いている。リビアの首都トリポリでは、カダフィ打倒に協力しあったはずの、新体制側ミリシアが戦闘を展開しているというのだ。

 その犠牲者は4人が死亡5人が負傷したということだ。この戦闘はトリポリを拠点にしているベルハッジのグループと、ミスラタのミリシア・グループの間で起こっている。

 ミスラタはカダフィ派の攻撃が最も激しく、多くの犠牲者を出している街だが、その見返りが特にないところに、不満が募っているのではないか。血の代償を求めても、それが新政府によって与えられてはいないということだ。

 トリポリのカダフィ時代の、内務省ビルのそばで戦闘は起こったが、それはこのビルをミスラタ側が、彼らの本部として使いたいということと、ミスラタの軍司令官が新政府につかまり、投獄されているのを釈放したい、という二つの目的があったようだ。

 トリポリにはこれら以外にも、多くのミリシア・グループがそれぞれに拠点を構えており、その地域を支配した形になっているようだ。カダフィ派もトリポリ郊外に拠点を設け、未だに新政府に従おうとはしていない。

 そもそも、こうした状態が革命成功の後に、起こっているのは何故であろうか。あるリビア人は『革命が成功し新政府ができて既に1カ月以上も経過しているが、何も改善されていないことにある。』と語っている。

 確かにそうであろう、公務員になった者には、現金が不足していることから、給与の支払いが遅れているし、物資不足も伝えられている。少し前には、カダフィ派がトリポリの発電所を、爆破しようとさえしているのだ。

 革命が成功したとは言え、リビアは未だにカオスの状態にある、ということであろう。そのカオスからリビアが抜け出すためには、内務省や軍、警察組織を、早急に整備する必要があるのだろうが、そこでは各部族間、地域間の利害対立が激しく、調整が難航するということであろう。

 トリポリに留まる地方出身のミリシアのあるリビア人は、早く軍を組織して、我々をそのなかに入れてくれれば問題は解決する、と語っている。つまり、いまトリポリが混乱状態にあるのは、就職の機会を求めてという部分も、あるということだ。

 リビアはいま、すでに革命から次の段階に、移行しているということでもあろう。それは国民が安定した生活を送ることができるようになる、社会基盤の整備が求められているということだ。その国民の要望に応えるのが遅れれば、新政府は危険に直面することになろう。