昨年末から気になっていることがある。それはカタールのアラブ各国への、関与が強くなってきていることだ。まず挙げられるのが、サウジアラビアに対する攻勢だ。カタールは『サウジアラビアの軍隊は恐れるに足りない。』と豪語している。
サウジアラビア政府がペルシャ湾に面した、アルカテイーフ地域の住民に対し、弾圧を加えていることについても非難し、カタール軍を送って彼らを救う意志がある、とも言い出している。
こうしたカタールの強気の発言をイランが報じているのだが、イランの報道によれば、それはカタールのシェイク・ハムド・ビン・ジャーシム・アルサーニ首相によって語られ、録音されたものだということだ。つまり、ほぼ間違いの無い話であろう。
カタールは最近になって、パレスチナのハマース組織がシリアから離れ、ヨルダンに拠点を移すとも報じている。この情報はカタールが流したものを、イランが報道している。イランの報道よれば、サウジアラビアはイランとハマースが関係あることから、ハマースの拠点の受け入れを拒否し、その代わりにカタールが資金と天然ガスをヨルダンに供給することで、受け入れたというのだ。
しかし、ヨルダン政府はそのようなことはない、ハマースを受け入れはしない、とこの情報を否定している。ヨルダンは以前、自国内に居住していたハマースの幹部ハーリド。ミシャアル氏を追放し、ヨルダン国籍を彼に与えていたが、その後、国籍も剥奪しているのだ。
ヨルダンにすれば、国内でムスリム同胞団の反政府活動が活発化するなかで、ハマース幹部を自国内に受け入れることは、火に油を注ぐような危険なことであろうから、例えそのような要請がハマース側からあったとしても、断るというのが当然の対応であろう。
カタールは何故こうも、サウジアラビアやヨルダンに関与するのであろうか、リビアの革命時はカタールが資金と武器を反体制側に送り、しかも、航空機による支援も行っていた。
カタールは今ある国の要請に基づいて、こうした動きをしているのではないか。そのある国がどの国であり、その国の意図が何辺にあるのかを、考える必要があろう。それが今年の重要な動きへの、前哨戦のような気がする。
カタール以外にも、アラブの革命で力を付けたかに見える、チュニジアのナハダ党やエジプトのムスリム同胞団、そしてパレスチナのハマースやレバノンのヘズブラの動きも、少しやり過ぎではないかと思えてならない。