「イランのRQ-170機捕獲が大問題になろう」

2011年12月13日

 

 イランが同国東部地域を偵察していた、アメリカのスパイ無人機RQ-170を電子機器を使い、ほぼ無傷で確保した。これは日本ではほとんど報じられていないが、とんでもない事件と言えよう。

 第一に、イランがアメリカの無人機を電子機器を使い、うまく操作し軟着陸させる技術を、持っていることが判明したことだ。そのことは、今後、他の国でアメリカが無人機を使った場合でも、使われる可能性を、否定できないだろうということになる。

 つまり、今回イランが無人機の捕獲に成功したということは、アメリカの無人機が今後、最も進歩した兵器として、通用しなくなるということだ。そもそも、無人機と偵察衛星と地上軍を結びつけた軍事作戦は、イラク戦争でその絶大な効果を発揮した、アメリカの最も進んだ戦闘方式になっていたはずだ。

 イスラエルによるパレスチナのガザ地区に対する攻撃でも、無人機の果たしている役割は絶大なものだ。

 それが、今回のイランの無人機捕獲の成功で、台無しになってしまったのだ。そればかりではない。イランが豪語するように、イランはいま世界で最も無人機に詳しい技術情報を、持つに至ったということであろう。

 現在、イランはアメリカとの間で、軍事的に極めて緊張した関係にあるが、このアメリカの無人機に関する情報と交換に、イランはロシアから最も進んだ兵器を、入手できるかもしれない。

 そうなると、アメリカやイスラエルによるイラン攻撃は、極めてリスクの高いものになるのではないか。

 イランが捕獲したというRQ-170機については、アメリカ政府はまだ正式には、それが事実であることを認めていないようだが、アメリカの専門家のなかから、捕獲されたRQ-170機は実物だという意見が出ている。ほぼ間違いなく本物であろう。

 こうなると、アメリカやイスラエルは今後、どうイランに対処していくのか興味深い。もちろん、戦争は無人機だけで行うわけではないから、他に攻撃の手段が無いと言うつもりは無い。しかし、アメリカやイスラエルの作戦に、大分狂いが生じたことは事実であろう。

 今後、このRQ-170機捕獲劇を機会に、アメリカやイスラエルはどのような圧力のかけかたを、イランに対してするのか興味深いところだ。今回の事件がアメリカやイスラエルをして、イラン攻撃を断念させることに、繋がるにこしたことは無い。