「ヨルダンでもムスリム同胞団が抗議デモ主導」

2011年12月17日

 

 アラブの春の影響は程度の差はあるものの、ほとんど全てのアラブ諸国で現象として現れている。

 ヨルダンでは既に、一年間に渡って小規模デモが繰り返されている。王制国家であり、デモの中心が移住者であるパレスチナ人であることから、デモの形態は極めて抑制されたものに、限られてきていた。

 しかし、これまでには移住者のパレスチナ人、あるいはヨルダン国籍を持ったパレスチナ人ばかりではなく、ヨルダンの原住者であるベドウインの部族長らによる、抗議行動もあった。

 つまり、ヨルダンの居住者は現状に大きな不満を、抱いているということだ。もし、アブドッラー二世国王が改革を実際的に進めず、ごまかしの改革を繰り返していけば、やがては本格的な抗議行動になり、収拾がつかなくなるばかりか、国王そのものに対する反対行動に、発展していく危険性が、あるということではないか。

 これまでのアラブ各国で起こった反政府デモは、当初は政府に対する改革要求デモであったものが、政府の強硬対応によって、反政府行動に変わり、国家元首を断罪するものに発展している。

 ヨルダンの首都アンマンで、金曜日に起こったデモでは、反政府デモであり国王に対し、民主的な政府の樹立を要望するものだった。つまり政府に不満があるが、国王に対しては不満を述べていないのだ。

 しかし、よく考えると、これまでアブドッラー二世国王は、何度と無く内閣を解散させ、首相を交代させてきている。反政府デモはつまるところ、反国王デモだということではないのか。

 今回のデモはムスリム同胞団が、矢面に立って計画し実行している。つまり、他の国でもそうであったように、用心深いムスリム同胞団が、ついに正面に出てきて、反政府デモを展開するということは、然るべき成果が挙げられるという、見通しが立ったからではないのか。

 現実に反政府デモに参加した者たちの間からは、アブドッラー二世国王自身に対する、抗議のスローガンが叫ばれてもいる。アブドッラー二世国王の権限を縮小すべきだ、と唱える者もいたのだ。

 ヨルダンのムスリム同胞団は、このような反政府デモを、今後も継続していくと明言している。つまり、最終的な段階に到るまで、抗議デモは続けられるということだ。それは王制打倒であろう。