「ムスリム同胞団に変化の兆しかそれとも手段か」

2011年12月14日

 

 パレスチナのガザの、ムスリム同胞団が結成したハマース組織が、最近になってソフト路線を打ち出し始めたようだ。それはこれまで厳しかった、服装コードを緩め始めたというのだ。これまでは、女子生徒がスカーフをかむることを義務付けられていたが、最近では学校側に対し、ハマースがスカーフをかむることを義務付けないように、という連絡をしたというのだ。

 女性が公衆の面前で、水タバコを喫煙することも禁じられていたが、その規制もゆるくなってきているということだ。こうしたことについて、ガザの住民は以前より確かにハマースの規制が、緩くなってきていると認めている。

 それでは何があったのだろうか。実はこうした規制の緩和の前に、エジプトのムスリム同胞団幹部が、ガザ入りしている。その時に、今後ムスリム同胞団はどのように方針を変えていくのかが、話し合われたのではないか。

 エジプトではムスリム同胞団が、与党になることはほぼ確実なようだが、これまでのようなイスラムの厳密な方針では、国家運営上種々の問題が発生してくるし、国民の支持も減ると踏んだのではないだろうか。

 そこで実験的に、ガザのハマースで試しているのではないか。その前の段階では、エジプトのムスリム同胞団幹部が、外国人観光客のビキニやアルコールは、規制すると発言していた。

 そのようなムスリム同胞団の厳しい措置に対し、エジプトの観光業者がこぞって、不満を述べている。そうしたことから、ムスリム同報団はいろいろなこと、いろいろな手段を用いて、試しているのではないか。

 エジプトのイスラム原理主義者たちは、最近になって『ハラール観光』なる言葉を使い始めている。つまりアルコールは外人観光客にも提供しない。ビキニの水着も認めないという方針の、イスラム法で認められる観光を促進しようということであろう。

 エジプトにとって観光産業は裾野が広く、三大産業の一つになっている。観光産業からの外貨収入は、全体の10パーセントを占めているのだ。これではムスリム同胞団といえども、何らかの方策を考えないわけにはいくまい。

 いまのところ、ムスリム同胞団の幹部は言を左右にしている。外人観光客が泊まる五つ星ホテルに、アルコールを置かないとか置いてもいいとか、男女は海岸やプールで、別々に入るべきであるとか、それは許されるとか、、。

 しかし、実際に与党になりエジプトの政治を、自由に動かせることが出来るようになれば、ほぼ確実に彼らの望むイスラム法の適用が進もう。現段階でのあいまいな対応は、それまでの時間稼ぎに過ぎないのかも知れない。