リビアの国内状況は、まだまだ不安定だといえそうだ。12月10日の朝ヘフタル将軍が自宅から軍の施設に移動中、トリポリ空港そばの幹線道路で、白昼に攻撃を受けたのだ。
このヘフタル将軍は以前にもご紹介した、反カダフィの隠し玉的存在の人物だ。カダフィ体制下で嫌われチャドに派遣され、そこからニジェールに移動し、アメリカの庇護下に20年間いた人物だ。
彼はリビアで革命が始まると、アメリカによっていち早くベンガジに送り返され、今回の革命闘争に参加していた。そして、アブドルファッターハ・ユーニス将軍が暗殺された後、軍の最高幹部に就任していた。
リビアの新政府は今回のヘフタル将軍襲撃事件について、特別な政治的意味合いを持たないものだと説明しているが、実は襲撃のあった日は新政府発の議会が開催される日と、重なっていたのだ。
襲撃の後、襲撃犯の一人が逮捕されたが、それ以外は逃れたようだ。戦闘が1時間余にも渡って展開されたということは、それなりの戦闘能力を持った集団によるものであったと想像できよう。
襲撃犯の出身地はジンタンで、カダフィ大佐の子息サイフルイスラームを支持する人たちが、多いことで知られている。つまり、今回の襲撃事件は新政府の説明とは異なり、政治的意味合いの強いものであったということになろう、
シリア放送からはカダフィ大佐の愛娘アーイシャが、新政府に対する徹底抗戦を呼びかけている。リビアが混沌とするのはこれからではないのか。