「リビアのM・アブドッジャリール代表早くも苦境」

2011年12月13日

 

 リビアの暴君と呼ばれたカダフィ大佐が残虐な殺され方をして、リビア革命は一応達成されたことになった。しかし、他のアラブの国の革命と同じで、これはあくまでも第一段階が、達成されたに過ぎない。

 独裁者を追放した後は、公正な選挙が行われ、議会が結成され、大統領が選出されるまでが、革命の第二段階であろう。

 そして、第三段階は国民が選出した政府を、国民が支えて新しい国造りに、向かうことであろう。その段階では、革命の果実は国民の手には入ってこない。いわば最も苦しい段階であろう。

 そして、第四段階になりやっと革命に成功した国民が、革命の果実を手にすることが出来るのだ。それですらそう簡単ではなく、長い道のりの後であろう。革命が達成されたと喜び、第一段階でその果実を求めるのは、まさにナンセンスな話だ。

 ところが、アラブの革命ではチュニジアでもエジプトでも、リビアでも早急の果実の入手が、国民の要求として突出している。

 リビアではカダフィ大佐が殺されて、3ヶ月しか経過していないが、既に国民の臨時政府に対する要求が強まっている。ムスタファ・アブドッジャリール代表に対し、辞任を要求する行動が、革命発端の地ベンガジで、若者たちによって始められている。

 加えて、この若者の集団は、アブドルハフィーズ・ゴウカ副代表の辞任も、求めている。

 ムスタファ・アブドッジャリール代表は国民に対し、トリポリから『現在は転換段階であり、国民の辛抱が必要だ。』と呼びかけた。しかし、それに若者たちが耳を貸すとは思えない。若者のグループはカダフィ時代の要人についても、一切受け付けないという、強硬な主張をしているようだ。

 問題は彼らが武器を持っているということだ。不満が受け入れられないと分かれば、彼らが武器を手に行動を起こすことも、十分にありうるのだ。実際にカダフィ支持派がリビア国内では、戦闘行動に出ているし、革命政府側の間ですら、銃撃戦が起きているのだ。

 リビアの革命は第一段階で、当分の間停滞し、第二第三段階には進展できないかもしれない。そのことは、リビア国民の犠牲と、インフラのより一層の破壊が、進むということであろう。