トルコが最初にイラクに対し、滞っていた支払いを求めたが、実施されなかったことを理由に、イラク機のトルコ乗り入れを、禁止する措置をとった。
これに対抗して、イラク側もトルコ機のイラクへの乗り入れを、禁止する決定を下した。
話は単純なようだが、どうもそうではない。トルコとイラクの関係は、ある意味で一体化されている。イラクの復興事業の相当部分が、トルコの企業によって、進められているからだ。
それがトルコの経済活性化の理由の、ひとつになっている。もちろん、トルコ企業が仕事をしているのは、イラクばかりではない。トルコにとっては支払いが焦げ付くことは、中小のトルコ企業にとって、死活問題といえよう。そうした事情から、トルコ政府は強硬手段に、出たのであろう。
イラク側がトルコの乗り入れ禁止に対抗して、イラクへのトルコ機の、乗り入れを禁止する決定を下したが、イラクにとっては自分の腹も痛い、決定ではないか。
イラクの復興事業が相当部分、トルコ企業に依存していることと、各種のイラクの会議が、トルコで開催されているし、イラク国民の観光先としても、トルコが最も、人気が高いからだ。
イラクはトルコ機に対する飛行禁止を、バグダッドばかりではなく、クルド地区の空港にも、適用する構えのようだが、そうなると困るのは、クルド自治政府とトルコ企業であろう。
クルド地区の中心都市エルビルは、ほとんど全てがトルコ企業によって、建設され、運営されていると言っても過言ではない。このエルビルへの乗り入れ禁止が、もし実行されるようであれば、クルド自治政府とイラク中央政府との間で、新たな問題となろう。
トルコもイラクも感情論ではなく、双方の実益を考えて、決定を下すべきであろう。