カダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏が、リビア南部の街セブハ市に近い、オバリ市で拘束された、というニュースが流れた。BBC、エルサレムポストなどが最初に伝えたが、事実であることに間違いあるまい。
サイフルイスラーム氏はオバリ市で拘束された後、彼を拘束したジンタンの部隊が、彼らの本部があるジンタン市に連行し、その後トリポリに移送されるようだ。ジンタンの部隊にしてみれば、彼らの成果を誇りたいからであろう。
サイフルイスラーム氏はオバリ市から車2台ほどで、隣国のニジェールに逃走することを、画策していたようだ。そこでICC(国際刑事裁判所)に、投降しようと思っていたようだ。
さてこれから、彼の運命はどうなるのであろうか、ということが気になる。彼は最終的にはICC(国際刑事裁判所)に、リビア側から引き渡されるであろが、その前にリビアの裁判にかけられるであろう。
そうしなければ、リビア国民が納得しないからだ。しかし、彼がリビアの裁判で死刑判決を受け、処刑されることにはならないのではないか。サイフルイスラーム氏が知っている彼個人と家族、そしてカダフィ大佐の秘密を、調べ上げたいと望んでいよう。
サイフルイスラーム氏もそうだが、カダフィ大佐の隠し口座が、相当あると見られているからだ。
リビアの首相は現在、アブドッラヒーム・アルケイブ氏であり、彼は30年間アメリカに亡命していた人物だ。彼がサイフルイスラーム氏に対する、非人道的な処刑を許すようなことになれば、彼自身の立場も、アメリカの面子も潰れることになろう。
ICC(国際刑事裁判所)もサイフルイスラーム氏を通じて、リビアのカダフィ体制が進めてきたことを、徹底的に調べ上げたいと考えていよう。つまり、欧米がそれを望んでいるということだ。
サイフルイスラーム氏はいたって普通の考えの人物であり、カダフィ大佐の子息のなかでは、唯一まともな人物として、国際的に評価されていた。彼は小泉政権時代日本を訪問しているが、おとなしい性格の人物であり、訪日中に彼の絵画の展示会が開かれたことから、芸術家でもあることが知られた。
言ってみれば、彼は父カダフィ大佐の、常軌を逸した統治に唯一抵抗し、リビアの政治を、まともな方向に向けようと、努力していた人物だ。それだけに、リビア政府が彼の裁判で、公正な対応をすることを、望んで止まない。