「エジプト女性ヌードで性の平等と表現の自由を主張」

2011年11月19日

 

 いまエジプトを始め、アラブ世界で大きな話題になり、注目されている女性がいる。彼女の名前はアリア・マグダさん20歳。彼女は自身のヌード写真を撮影し、自身のブログで一般公開したのだ。

 保守的なイスラム社会にあって、この行動は大きなショックを与えた。彼女のブログを訪問した人の数は160万人、コメントを書き込んだ人の数は、2000人にものぼるということだ。

 日本でもUTUBEAliaa Magda と入れると、彼女のヌード写真が出てくる。日本ではこの手のヌード写真はあふれており、別に驚くほどのことではないが、イスラムの保守的な社会で、20歳の若い女性が何故これだけの、冒険をしたのかといぶかりたくもなる。

 エジプトは最も進歩的なアラブの国の一つだが、それでも恋人同士が公の場でキスをすることははばかられる。なんと言っても、ベールをかむっている女性が、社会的には尊敬を受けるのだから、無理もあるまい。

 アリア・マグダさんが今回、自身のヌードを披露したことは、エジプトを始めとするアラブ社会全体の解放、ということであろうが、どうもそうではなく、逆の効果をもたらしたのではないか。

 しかも現在、エジプトは選挙を数日先に予定しており、イスラム主義者たちにとっては、格好のネタを提供したようだ。『こんなふしだらなことを、貴方の娘さんがするような社会にしたいんですか?我々はイスラムのモラルを守っていきます。』といった具合にだ。

 実は彼女を支持してくれるはずの、革命に立ち上がった若者たちからも、今回の行動は批判を受けているようだ。革命を組織した若者たちの間からも『彼女の行動は認められない、我々は保守的である。』といったコメントが出ている。

 今回の彼女の行動の裏には、ボーイフレンドの存在があるということだ。彼女のボーイフレンドであるキャリーム・アメル氏は、イスラムやムバーラク体制を批判する活動家で、4年間投獄された経験を持つ人物だということだ。

 ムスリム同胞団などイスラム原理主義組織が、彼女をあからさまに非難するのは当然であろうが、世俗派の政党人士からも批判派出ている。『こうした行動はイスラム主義者たちの主張を、強化することになる。我々はエジプト社会をこの様な動きから守っていかなければならない。』その通りであろう。

 結果的に彼女の自由と男女の平等を求めた、大決断の末のヌード披露は、逆効果を生み出し、彼女は完全に孤立したということであろうか。一部人権団体からは、弱い支持が寄せられてはいるが。