「イラク女性が解放の犠牲に」

2011年11月13日

 

          

 イラクの国内が危険すぎるために、多くのイラク国民が、ヨルダンやシリアに難民として逃れている話は、大分前に報告したと思う。そして、その難民たちは仕事にありつけないために、生活手段が無く、家族のうちの若い娘が、夜の仕事に携わっているケースが、少なくないことも書いた記憶がある。

 ところが、そのことが世間に知れると、その女性の家族は、家名に傷が付くとして、その献身的な娘を家族が殺すという『名誉の殺人』が起こっていることも、書いた記憶がある。

 実は最近、人権組織が報告したことによると、多くの女性がイラク国内で誘拐され、国内外で売買されているということだ。その数は、2003年のアメリカ軍イラク侵攻以来、既に5000人にも上っている、ということのようだ。

 女性のなかでも、特に若い女性が誘拐され、イラク国内で性の奴隷として売買されており、シリアやヨルダンにも売り飛ばされ、そこで売春をさせられているということだ。

そのことに加え、レバノンやアラブ首長国連邦、サウジアラビアにも、女奴隷として、あるいは売春婦として、売られているということが、報告されている。

イラクはアメリカが主張するように、サダム・フセインという独裁者からは、解放されたかもしれないが、イラクの女性たちはその影で、犠牲になってきているということだ。

この問題の解決は意外に難しく、今後も放置されるであろうことが、予想される。彼女たちは二度と家族に会うことも、故郷に帰ることもできずに、一生を影の世界で過し、死んでいくことになるのだ。