アメリカ政府は湾岸諸国の一国である、アラブ首長国連邦に対し、バンカーバスターを1000発輸出する、計画があることを発表した。これは何を意味しているのかを、考えてみる必要がありそうだ。
バンカーバスターは地下の深部にある、対象物を破壊するために作られた、特殊爆弾であり、通常の戦闘に用いる、性質のものではない。つまり、地下深くに造られた核兵器施設などを、破壊する際に必要なものであろう。
それではアラブ首長国連邦は、それを使う必要があるのか、ということになるが、当面考えられるのは、イランの核施設に対する攻撃を、前提に輸入するということであろう。
しかし、アラブ首長国連邦にはバンカーバスターを使って、イランに攻撃を加える必要があるのかというと、それは報復を覚悟しなければならないことであり、極めて危険なことであろう。
また、アラブ首長国連邦にはバンカーバスターを有効に使いこなせる、軍事技術があるかというと疑問だ。つまり、アラブ首長国連邦がアメリカからバンカーバスター爆弾を、大量に輸入すると言うことは、他の目的があるということではないか。
それはアメリカが使用することを目的とし、アラブ首長国連邦が輸入する形をとり(代金はアラブ首長国連邦が支払うのだが)、アラブ首長国連邦国内に持ち込み、アメリカが使用するために、貯蔵しておくということではないのか。
アメリカとアラブ首長国連邦との間では、バンカーバスター爆弾ばかりではなく、直接攻撃兵器(JDAM)4900個の、輸入の話も進んでいるということだ。
アラブ首長国連邦に加え、アメリカは湾岸のサウジアラビア、バハレーン、クウエイト、オマーン、カタールとの間でも、兵器輸出取引の話が、進められているということだ。
アメリカはサウジアラビア政府との間では、新型のF-15戦闘爆撃機や、2000個のJDAM 、そしてそれ以外の強力な武器の取引が、進められているということだ。これらの兵器はどう考えても、イランに対して使用することが、前提のように思えるのだが。
確か、1980年代の初めの頃だったと思う。ある日本のしかるべき立場の人と、湾岸のある国を訪問したことがあるが、その時、相手国の国防大臣はこの日本人に、ある戦争について説明し、『我々は大量の高価な兵器を、アメリカから買わされているが、それを使うレベルにはない。』と語っていたということだ。アメリカは既に湾岸諸国を、支配下に置いているということではないのか。