最近、エジプトの革命後の調査結果が、がギャラップ社によって発表された。それをみると、エジプト国民の生活は、革命以前よりも悪化していることが分かる。多くの犠牲を払った革命は、ムバーラク大統領を追放することは出来ても、国民の生活環境を改善することには、繋がっていないようだ。
そのギャラップ社の調査によれば、エジプト国民は革命前に比べ、安全が保たれていない、路上でも危険が増している、と答えている。路上強盗や空き巣狙いの泥棒などの事件が、増加しているというのだ。
当然であろう、革命運動中に警察が市民を弾圧したということで、警察は外部で活動することに危険を感じ、犯罪取締りが出来ない状態になっているのだ。そして国民は警察が、犯罪取り締まりに動こうとすると、革命の成果は自分たちの手中にあるとし、権威を認めなくなっているのだ。
外を歩いていて危険と感じる人は、38パーセントに達しており、革命前の17パーセントの倍以上に達している。この割合は6月の51パーセントに比べると下がっており、多少の改善化見られるようだが、それは軍が戒厳令を発表してから改善したもののようだ。
現在エジプトの最高の地位にあるタンターウイ国防大臣は『主人がいる前で妻が、人さらいに会うような状態を放置できない。』と戒厳令交付の理由を説明している
物価の上昇は相変わらず続いており、国民生活は苦しさを増しているということだ。食料衣類などの購入割合は、48パーセントも落ち込んでいるということだ。食料については、家族が食べるだけの食料が買えない、と答えた人の割合は11%増え、40パーセントに達している。
IMFの予測では、エジプトのGDPの伸びは、今年1・2パーセント、来年は1・8パーセントとなっている。つまり、微増ということで、来年もまだ本格的回復期には、入れないということだ。これは世界のエジプトを見る目が、相変わらず厳しいことを示していよう。
リビアの場合はといえば、これから本当の争いが、始まるのではないか。それは欧米が考えていたよりも、リビア人が賢明であり、カダフィ大佐打倒後も、欧米が考えていたようには、物事が動いていないからだ。
フランスはチュニジアとリビアとの関係を強化することで、リビアへの台頭の保険をかけたのであろうが、革命当初に密約を交わしていたと言われている、リビア石油の38パーセントをフランスが牛耳る、という話は胡散霧消したようだ。
アメリカは30年間アメリカに亡命していた人物、アブドルラヒーム・ケイブ氏を首相に擁立することに成功したが、彼が安定した立場にいられるか否かは、いまの段階では不明だ。
リビア国内の最近の動きは、新政府に連なる誰が、カダフィ大佐と関係があったのか、誰がサイフルイスラーム氏と関係あったのかが、洗い出され始めているからだ。つまり新政府を構成する人物の多くが、カダフィ大佐と彼の息子と繋がっていたことが、問題化してくる可能性があるということだ。
『アラブの春」』と呼ばれた政変劇は、実はそんな美しいものでも、輝かしいものでもなかったということだ。矢尽き刀折れてなお、彼らは戦い続けなければならないということか。苦しみはまだ続くようだ。