リビアのカダフィ掃討作戦は、NATO軍の支援を受けることによって完了した。カダフィ大佐は10月20日、故郷シルテで殺害されたことによって、リビアは新たな一歩を、踏み出したことになった。
その第一が、臨時政府の首相選びであった。今回51人のNTC (臨時会議)のメンバーによって、4人の首相候補者に対する投票が行われ、アブドルラヒーム・アル・キーブ氏が26票を取り当選した。
彼はトリポリ大学の教授で、電気工学の専門家だ。以前に数十年間アメリカに留学した、経歴を持つ人物だ。そこで気になるのは、何故、今まで首相候補と言われ、ほぼ確定していたムハンマド・ジブリール氏ではなく、彼が選ばれたのかということだ。
一説によれば、ムハンマド・ジブリール氏はアメリカの招待された折に、アメリカ政府から革命達成後の、治安維持目的でアメリカ軍を、リビアに派遣することを提案され、それを受け入れなかったということだ。
これにアメリカ側が不満を表明し、ムハンマド・ジブリール氏は嫌気がさして、首相就任を取りやめたのだ、と言われている。
以前から気になっていたのは、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアなど、カダフィ掃討作戦に参加した国々が、革命後の組閣で自国に滞在、あるいは亡命していた人物の、入閣を支えるよう働きかけるのではないか、ということだ。
もし、それが可能になれば、その国はその閣僚を通じて、リビアの復興事業を有利に、受注することができると思われるからだ。
今回、アメリカに数十年いたことのある、このアブドルラヒーム・アル・キーブ氏が、リビアの新首相に就任するということは、アメリカ企業にとってもアメリカ政府にとっても、確実な地歩を固めたということではないのか。
これから他の閣僚の名前が、挙がってくると思うが、その一人一人について、確認する必要があるのではないか。それは日本では外務省の、仕事でもあろう。