「ギュル大統領シリアをPKK利用で非難」

2011年11月 9日

トルコのギュル大統領はその風貌からして、穏健な人物と一般的に評価されている。そのギュル大統領がシリアに対して、厳しい言葉を向けた。

 ギュル大統領が厳しい言葉をシリアに対して向けたのは、シリアのバッシャール・アサド政権が、クルド労働党(PKK)を使って、トルコに敵対行動を取ることを再開したからだ。

クルド労働党(PKK)1984年に、アブドッラー・オジャラン氏によって、結成された組織であり、クルド民族のトルコからの分離独立をうたっているが、その実態は、当時シリアとトルコとの関係が悪化していたことから、シリア側が結成し支援し、反トルコゲリラ活動をさせてきたものだ。

 その後、シリアがトルコと妥協しアブドッラー・オジャラン氏を逮捕させるよう仕向けた。その後両国は和解路線を取り始め、ついには両国間のビザなし交流や、国境地帯の地雷撤去までが、進められるようになっていた。

しかし、シリア国内では国民に対する弾圧政策が続き、国民による反政府活動が活発化してきた。トルコのエルドアン首相はシリアのバッシャール・アサド大統領に対し、民主化を進めるべきだと説得してきたが、その効果は生まれなかった。

今回のシリア国内外での反政府の動きの高まる中で、シリアからの難民がトルコになだれ込み、トルコはシリアに対し、何度となく厳しい言葉を向けるようになっていた。

 これに対し、シリア側はトルコのアキレス腱である、クルド労働党(PKK)を背後から支援し、トルコに対するゲリラ攻撃を激化させている。そのことに業を煮やしての、ギュル大統領の発言だった。

 ギュル大統領はシリアに対し、ニ度と同じ間違いを繰り返すべきではないと語り、トルコが過去10年のなかで、アラブ諸国の信頼を勝ち得てきたのは、民主的であり、世俗的であり、自由市場主義を採用しており、ムスリムがマジョリテイの国家だからだと発言している。

 シリアのバッシャール・アサド大統領がトルコに対して、敵対的な行動を取り続け、シリア国民に弾圧政策を取り続けるならば、バッシャール・アサド大統領はチュニジア、エジプト、リビアの元首と同じように、追放される時が来ると言っているのであろう。

 つい最近になって、シリアで反体制運動派の人たちが、3500人も殺害された、という報告がなされている。これでは世界のどの国も、シリアの現体制を支持したくなくなるだろう。

 シリアにとって数少ない友好国であるイランですら、最近ではシリア国内で起こっていることを、一部ではあるが報道するようになってきているのだ。