「H.クリントンのご託宣・シリアは内戦になる」

2011年11月19日

 

 アメリカのヒラリー・クリントン国務長官が、シリアは内戦になると発言した。その意味するところは何なのか、興味深いところだ。しかし、彼女はシリア問題で、NATOがリビアに対して採ったような、直接的な関与はしない、とも語っている。

 ヒラリー・クリントン国務長官は、シリアの反体制側には十分な兵器と潤沢な資金がある、とも語っている。一体それは何処から来ているのか、という疑問がすぐ沸いてくる。

 十分な兵器は多分リビアから、流れているものではないだろうか。リビアからは既に、相当量の兵器が流出しているのだ。そして、それらの一部が既にレバノン経由で、ラタキアの港に陸揚げされているということだ。

 加えて、武器はトルコからも、流れているのではないかと思われる。トルコ政府は安全地帯を、シリア領土内に構築する考えを持っているが、シリア軍と戦争をするところまでは、考えていないようだ。そうであれば、シリアの反体制派に対して、武器を供与する程度のことは、するだろうと思われる。

 武器はヨルダン側からも、流入する可能性がある。トルコとヨルダンは共に、安全地帯の構築を考えているからだ。ヨルダンもトルコと同様に、シリア軍との交戦を、希望してはいまい。

 潤沢な資金については、多分に湾岸諸国からの援助、ということが考えられる。シリア政府は湾岸の国々が、反体制派を支援している、と不満を述べているが、それはそのことを意味しているのであろう。

 そして、湾岸諸国のシリア反体制派に対する資金援助も、武器の調達も、アメリカは全てご承知なのであろう。

 その上で、ヒラリー・クリントン国務長官は『シリアが内戦に向かう。』と語ったのではないか。しかも、その場合はNATOではなく、アラブ連盟とトルコが応分の役割を果たす、ということのようだ。

 そのトルコは、軍事力の行使に反対しているが、安全地帯の構築はやる可能性が高い。そしてそこからシリアの反体制派を、支援するということであろう。

 アラブ連盟はシリアに対する最後通牒の期限が土曜日だが、その次にどうしようというのであろうか。アラブ連盟の場合も、軍事力の行使はありえない。せいぜい武器と資金を反体制派に渡す、ということではないか。

 そうであるとすれば、ヒラリー・クリントン国務長官が予測したように、シリアは内戦の血の海に変わるかもしれない。あるいはそれが、アメリカの意図するところかもしれない。