「トルコの強運・災い福に」

2011年10月30日

 

           

 トルコ北東部のワン県周辺で、大地震が起こったことが、関係者の間でいろいろな不安を抱かせている。日本人でトルコに関心を寄せている人たちから、トルコはどうなるのかという質問を受けた。

 私はその質問に対して、これはトルコ政府に『幸いな結果をもたらすかもしれない。』と答えている。なぜならば、ワン県周辺はクルド人が、多数居住している地域だからだ。

 このクルド人が中心で起こった災難に対し、トルコ政府が誠心誠意の支援活動を行えば、結果的にクルド人とトルコ人との和解が、進むことになると考えたからだ。

 意地悪ない方が許されるならば、トルコ政府はこれ幸いと、支援活動に力を入れるであろう。トルコ政府は地震や他の災害が、トルコ人地域で起ころうがクルド人地域で起ころうが、支援活動に差をつけるつもりはないということを、現実に行動で示すということだ。

 そのトルコ政府の努力が実り、多くのトルコ人がクルド地域の地震災害に支援を送れば、両者の間には和解のムードが広がっていこう。実際にトルコではいま、テレビ特別番組を通じて募金活動を行い、放送局には莫大な寄付が、寄せられたと報じている。

 こうなると面白くないのはPKKであろう。彼らはトルコとクルドとの隔離工作を続けてきていたが、状況がそれとは反対の方向に、動きだしているからだ。

 私の予測で外れたのは、こうしたなかでのPKK側からの、トルコ軍やトルコの施設に対するテロ攻撃は、一時的に止まるだろうという点についてだ。そんなことをすれば、益々PKKは大衆の支持を、失うことになるからだ。

 しかし、現実にはトルコの南東部の町、ビンニョルのAKP事務所のそばで、爆弾テロが起こっている。何とかAKPのイメージを悪くしたい.AKPを激怒させ、PKKとクルド人に対する憎しみを、煽ろうと思ったのかもしれない。

 しかし、もし今回のビンニョル市で起こった爆弾テロが、PKKによるものであるとすれば、実に稚拙な判断ではないか。

 イラン政府はPKKの姉妹組織であるPJAKについて、問題はほぼ解決したと宣言している。徹底的な攻撃の後のことだ。トルコも災害復旧がある程度進んだ段階で、徹底的なPKK掃討作戦を、始めるのではないか。

 その時、トルコ国内のクルド人がどれだけ、PKKを支持するというのだろうか。しかも、シリアから流入したクルド難民に対しても、トルコ政府は手厚い保護を与えているのだ。