「最近の中東は話題の宝庫」

2011年10月25日

 中東情勢を追っていると、毎日書くテーマに事欠かない。それよりも書けずに、そのテーマを書くタイミングを逃している場合が多い。あれも書きたかったなあ、とその後で思うことがよくあるのだ。

 そこで今回は、いま書きたいテーマの概略を、まとめて書くことにした。

 

:北アフリカのアラブ諸国には、ユダヤ人が正式に社会参画をしていくのか。

 リビアで革命が達成されるとNTC(新政府)の幹部は口をそろえて、元リビア在住のユダヤ人の政治参加と、社会復帰を呼びかけている。同じように、チュニジアでもマイノリテイの代表として、ユダヤ人が別枠の国会議員参画が、成立しそうな雰囲気だ。

 エジプトの場合はどうかわからないが、それでも同じような流れが、生まれてくる可能性はあるだろう。また、モロッコはユダヤ人が以前から、社会的な地位を占めてきているが、それがもっと大きくなっていく、可能性があろう。

 

:アラブの春とイスラム化の関係。

 アラブの大衆が現状に不満を感じて起こした、アラブの春革命は次第にイスラム色を強くしている。革命後にはじめて自由な選挙が行われたチュニジアでは、イスラム穏健派(?)のナハダ党が第一党にほぼなりそうだ。

 エジプトでもムスリム同胞団が勢いを増しているし、シリアでもムスリム同胞団が、大きな力を示しつつある。ヨルダンでもムスリム同胞団の存在は、否定できない社会の政治運動の、中核となっている。

 リビアではNTC(新政府)の代表者、ムスタファアブドッジャリール氏が、イスラム法を基本とすると宣言した。こうした一連のイスラム復興の動きは、今後どうなっていくのであろうか。

 多分に考えられるのは、革命の先駆者である世俗的な若者たちが、世俗的な政治を求めることから、国内対立が生まれてくるのではないか。その場合、世俗主義者たちは、何を理闘争論の根拠とするか、ということだ。イスラム主義者たちはイスラムを根拠とするが、世俗主義者たちにはそれがないからだ。

 

:サウジアラビアの次期皇太子は同国王制の寿命を縮めるか。

 サウジアラビアのスルタン皇太子が死去し、後継者としてはナーイフ殿下の就任がほぼ確実なようだ。彼はサウジアラビアの内相であり、これまで何度か起こった国内不安を、力によって抑え込んできた。

 今後皇太子に就任した後、サウジアラビアで不安定な状況が起こった時、彼はより強硬な対応をするのではないか。彼の子息ムハンマド氏も、父親似の強硬派だという噂がもっぱらだ。

 そうなると妥協の余地がなくなり、民主化を求める国民との間で、正面衝突が起こる可能性が、高くなるということだ。

 いまアラブ諸国は押し並べて、大きな変化の始まりの時を、迎えているのであろう。それだけに、少しの変化でも見逃すわけにはいかない。それが日本の今後に、直結していることは述べるまでもなかろう。