チュニジアで10月23日、統一地方選挙が実施された。結果は、今日10月24日中には出るはずだが、ナハダ党が第一党になる、という予測がもっぱらだ。それは世論調査などの結果、ナハダの党支持者が29パーセント、世俗主義の進歩民主党が、12パーセントとなっているからだ。
その他にも、多くの政党が今回の選挙で名乗り出たが、とても10パーセント台の得票を、獲得するとは思えない。つまり、ナハダ党と進歩民主党がどう競り合って、どちらが与党になるかということであろう。
問題は、ナハダ党が実は危険な側面を持った、政党だということだ。これまで、ナハダ党が絡んだり実行したりした、テロ事件は少なくない。1979年のチュニジア大使館襲撃事件への支援、1980年に起こった観光客に対する爆弾襲撃事件、ベン・アリ大統領の与党本部に対する、襲撃事件などがある。
ナハダ党はイラン革命に刺激され、イスラム大学の人士が1979年に結成し、その2年後には活動禁止となった党だが、エジプトのムスリム同胞団のサイイド・コトブ師の思想に、近いとされている。
今回のチュニジアの革命成功後、ナハダ党の党首ラーシド・ガンヌーシ師が帰国し、羊宣言をしているが『羊の皮を冠った狼だ』と見る向きも少なくない。リビアでは革命勝利宣言の式典で、ムスタファ・アブドッジャリール氏がイスラム法の施行を宣言し、『4人の妻帯』や『イスラム法による無利子』を、宣言している。
こうなると、チュニジアのナハダ党も似たり寄ったりの、方針を打ち出すのではないかと思われる。
このナハダ党の与党が誕生するのか、あるいは国民の中の世俗派が、選挙の投票でこれを潰すのか。あるいは内務省が動いて力による、ナハダ党の撲滅を図るのか、今後の注目点であろう。ただ言えることは、どの政党が政権を取ったとしても、チュニジアは当分の間、資金難に苦しむであろうし、そのことは同国を不安定な状態に、置くということであろう。