9月23日、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長は、国連のバン・キムン事務総長に対して、パレスチナを国家として認め、国連の正式メンバーに加えるよう要請した。
パレスチナ自治政府の外交努力で、国連加盟国の100カ国以上が、パレスチナを支持することになっている。しかし、だからといってパレスチナが、国連の正式メンバーとして、すんなり認められるわけではない。国連安保理でどう取り扱われるかが問題なのだ。
アメリカ政府は既に、拒否権を発動すると宣言し、パレスチナ自治政府に対しては、制裁として200万ドルの援助を止める、と言い始めている。つまり、パレスチナ自治政府の外交努力は、アメリカン国連安保理における、拒否権の行使によって、水泡に帰するということだ。
これはヨルダン川西岸地区と、ガザ地区の住民を、激高させることになろう。場合によっては暴動が、イスラエル領土内にも及ぶかもしれない。このため、イスラエル政府は軍や警察に、厳重警戒態勢を敷かせている。
そうしたなか、マハムード・アッバース議長の努力に対し、全く反対の立場を、イランとハマースが表明している。先にイランの首都テヘラン市で、第5回パレスチナ・インテファーダ国際会議が開催された。
その開会式で、イランの最高指導者ハメネイ師は『2国家解決案は地域を永久に不安定にする、がん細胞を植え付けるようなものだ、パレスチナを分割しようとする努力は拒絶する。』と語った。
この会議にパレスチナ代表として出席した、ハマースのミシャアル氏も『闘争のみが、パレスチナ解放への道であることが、明らかになった。これまでの努力は失敗に終わり(マハムード・アッバース議長の和平実現への努力)、残されたのは闘争だけだ。』という内容の演説をしている。
国連安保理と国連総会で、間も無くパレスチナ問題に対する結論が出ようが、このイランのハメネイ師とハマースのミシャアル氏の発言は、パレスチナ大衆の心に響き留まることであろう。
国連の場で、パレスチナ問題解決に繋がる、何らかの結論が出なければ、パレスチナ大衆は暴発する、危険性が高いのではないか。ハマースはイスラエルに対する、パレスチナの怒りを爆発させるために、ガザからのロケット攻撃を行い、イスラエルは報復空爆を実施している。
チュニジアやエジプトと並び、イスラエルも安心して訪問できる国では、なくなりつつあるようだ。