「M・アッバース議長は辞任するのか」

2011年10月28日

 パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長が、国連にパレスチナを国家として承認するよう要請したことで、逆に彼のパレスチナ内部での評判が、下がっているようだ。

 このことについては要請が出される前から、多くの意見が出ていた。『アメリカの拒否権が使われることは明白であり、どうせ通過しないのだから無意味だ。』とする意見や『パレスチナ国家の承認を認めてもらおうとすれば、アメリカの逆鱗に触れて、経済援助が受けられなくなる。』という、現実的な意見もあった。

 加えて『これは何の成果も生まなかったマハムード・アッバース議長が辞任を前に、何らかの成果を残したいからだ。』という痛烈な批判を、交えたものもあった。 

 そうした社会の雰囲気に加え、先に行われたシャリット氏とパレスチナ人収監者との交換が、ハマースによって成功し、極めて有利な交換が成立したこともあり、マハムード・アッバース議長に対する評価も、相当悪化している。

 そんな中で、マハムード・アッバース議長の口にした一言が『マハムード・アッバース議長辞任か?』という噂を呼んでいる。その噂は間もなくパレスチナ自治政府によって否定されてはいるが、今後も繰り返される可能性があろう。

 そこまでマハムード・アッバース議長の人気は下がっているということだ。そうなると、彼に絡んだ金がらみのスキャンダルが出てきて、次いで後継は誰かということが、噂の中心になろう。

 パレスチナ自治政府は『アラブの春はパレスチナ人が、イスラエルに対して起こす。』と言ってきたがそうではなくて『パレスチナのアラブの春はパレスチナ自治政府や、マハムード・アッバース議長に対して始まる。』ということではないのか。

 アラブ世界の昨今は何があっても不思議はない。それだけに目が離せない状況に入っているということであろう。