「イスラエルから出てきたM・アッバースに関する意見」

2011年10月26日

 今日エルサレム・ポストを見ていたら、面白い記事が掲載されていた。いずれもイスラエルの要人が、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長に関して語っていたものだ。それが興味深かったので、ご紹介することにした。

 一つはペレズ議員(大統領のシモン・ペレス氏ではない)が語っていたものだ。彼はマルワーン・バルグーテイ氏のような人物を釈放することが、今後のパレスチナ・イスラエル関係を進展させていく上で、有効だというものだ。

 これはイスラエルとパレスチナとの間で、今後550人の釈放が約束されていることに関して出てきた発言だが、そのなかには、マルワーン・バルグーテイ氏のような人が入っていると、マハムード・アッバース議長の和平に向けた活動を、助けることになるだろうというものだった。

ペレズ議員はマハムード・アッバース議長のことを批判するのではなく、外交的能力があり代表者にふさわしい人物と、持ち上げながら、しかし、巷で人気のある人物の釈放が、有効だというのだ。つまりマハムード・アッバース議長の能力が限界に達している、と間接的に言っているのだ。

もう一人の発言は、そんなソフトなものではなく直接的に、マハムード・アッバース議長の能力を否定したものだ。それはリーベルマン外相の発言だ。同外相は『マハムード・アッバース議長はもう辞任すべきだ。』と語り、『彼が辞任して後継となる人物は誰でも、マハムード・アッバース議長よりもましだ。』というのだ。

そればかりか、リーベルマン外相はマハムード・アッバース議長が現在の地位に留まれば、殺害されることもありうる、と言いってさえいるのだ。

さすがにリーベルマン外相の発言は、パレスチナ側を刺激したようで、パレスチナの社会担当大臣フセイン・アッシェイフ氏が噛み付いている。彼はリーベルマン外相の発言を、和平交渉をする相手に対してふさわしくなく、失礼を詫びるべきだと語っている。

加えて、フセイン・アッシェイフ社会問題担当大臣は、そのような不穏当な発言は強硬派の人たちグリーン・ライトを与えることであり、行動に移させる危険性があるのもだ、と非難している。

こうした発言が出てくる裏には、今回の11027の人質交換が、イスラエル国内で議論を巻き起こしたことに、影響されているのではないか。この人質交換では、賛否両論が出ていた。

加えて、この有利な交渉を成功させたハマースの人気が、マハムード・アッバース議長の人気に、陰りをもたらしたからであろう。