ガザに拠点を置くハマースが、イスラエル兵ギラド・シャリットを人質にして、5年以上(1941日)の期間が経過した。そして、今日やっとイスラエルとハマースの交渉成立により、ギラド・シャリットが釈放されることになった。
しかし、イスラエルは彼の釈放に、高い代償を支払う必要があった。イスラエル側はギラド・シャリット一人を釈放するために、1027人のパレスチナ人受刑者を、釈放することになったのだ。
この1:1027の取引については、イスラエル国内でも反対意見があったが、大半はギラド・シャリットの釈放を支持した、ということだ。ただ、この釈放取引にはまだ裏があるようで、ガザの閉鎖を解除することも含まれ、交渉が継続しているという情報もある。
これまで、ギラド・シャリットを人質にしているのは、ハマースではないと言い張ってきていたが、狭いガザの中でのことであり、どのグループが彼を人質にしていたのか、彼が何処にいたのかをハマースは把握していたはずだ。であるからこそ、今回の釈放交渉が成功したのであろう。
この人質釈放交渉の成功は、イスラエル国民にとっても、パレスチナ人にとっても朗報であろう。なかでも、パレスチナ側は多数の同士が釈放されることで、大喜びであろう。
この人質交換の成立は、ハマースの大成果であったと言えよう。そのことが今後のパレスチナ内部での、権力闘争に影を落としそうだ。ハマースは人質交換で、パレスチナ自治政府が長年交渉しても、実現できなかったことを、成功させたからだ。
ハマースの強硬な交渉が、結果的に成功したことにより、パレスチナ自治政府の交渉能力の無さが、目立ったということだ。パレスチナ内部では、マハムード・アッバース議長はイスラエルとアメリカの犬で、金で買収され、何でもイエスと言い、交渉などしていなかった、単にイスラエルとアメリカの命令を、聞いていたに過ぎない、という認識が広がっていこう。
こうなると、マハムード・アッバース議長は焦りだし、権力の再強化、影響力の拡大のために、何らかの成果を挙げなければ、ならなくなったということだ。マハムード・アッバース議長がいま挙げられそうな成果は、国連でのパレスチナ国家承認ということだけであろう。
そうなると、マハムード・アッバース議長は今後、相当強硬にこのことを、実現しようとするだろう。それが成果を挙げることが出来なかった時は、彼の立場は極めて危険なものになる、ということであろう。