カダフィ大佐の二男、サイフルイスラーム氏が未だに、行方不明となっている。時折連絡がつくが、衛星電話では居場所がわかってしまうということで、複雑な経路を経て、外部との連絡を取っているようだ。
この問題に詳しい人たちの話によれば、彼はニジェールとアルジェリア、リビアの国境が接するの山岳地帯に、いるのではないかということだ。この地域はリビア政府の力が及んでいない、トワレグ族の支配地域であり、トワレグ族はカダフィ大佐支持だったからだということだ。
問題はこのリビア国内と思われる、山岳地帯か、ニジェールに入り、そこからどこに行くのかということだ。ニジェール北部は中央政府とは、別の立場をとっており、カダフィ大佐支持者が多かったことから、サイフルイスラーム氏が匿ってもらえる可能性はあろう。
もしここに永久に留まればそれは、それで可能であろうし、リビアに近いことから、将来、サイフルイスラーム氏が反撃を開始するには、いい場所だということになろう。
ただそうなると、ICCに加盟しているニジェール政府は、苦しい立場に立たされることになる。サイフルイスラーム氏を捕まえて、ICCに引き渡さないことには、国家としてのメンツが立たなくなるからだ。
それではサイフルイスラーム氏が、ニジェールに短期滞在し、自らICCに身柄を拘束させるのかというと、それも不明だ。彼自身は自分が無罪であると主張しているが、カダフィ大佐を守るために、アフリカ諸国から傭兵を集めたのは彼であり、資金を出したのも彼だと言われている。
そうなると戦争犯罪の罪は免れまい。サイフルイスラーム氏がICC,に身柄を拘束されることを選択するとすれば、それはリビアでの死刑から免れるという、メリットだけということになる。
それではICCに加盟していない国に、亡命する可能性はあるのか。アフリカ諸国の中で彼を受け入れる、可能性のある国としてはジンバブエがある。それはムガベ大統領とカダフィ大佐の関係が、極めて良好だったからだ。しかも、ジンバブエはICCには、加盟していない国のようだ。
問題はサイフルイスラーム氏が、どうやってジンバブエにたどり着くかということであろう。ニジェールから航空機を使って、ジンバブエまで飛ぶ場合、ICCはすでにその飛行機を、拘束すると語っている。サイフルイスラーム氏にはすでに、パスポートの偽物が作られているが、一般の旅客機に乗るというのだろうか。
ニジェールから飛行機をチャーターしても、一般の旅客機に乗ったとしても、ジンバブエまでは相当の距離がある。それは危険の目安でもある。