今年の10月20日、チュニジアでは革命後初の、選挙が実施される、予定になっている。それが革命を起こした、大衆の望む結果を、生み出すのか否かについては、現段階では誰にも、予測がつかないのではないか。
しかし、現段階でもチュニジア国民が、どの政党を支持しているのか、ということについては、おおよその見当が付いている。それによれば、イギリスに20年間亡命していた、ラーシド・ガンヌーシ氏が率いる、ナハダ党が20パーセントの票を集めることができ、他党との連携に成功すれば、30パーセントの支持を、集めそうだということだ。
次いで、アハマド・ナジーブ・シャービ氏が率いる、改革民主党が10パーセントの支持を集めることが、予想されている。それに続くのは、アハマド・イブラーヒーム氏が率いる革新党で、8パーセントの支持を集める、と予測されている。
それ以外には、共産党の4パーセント、次いで大衆のための会議党で、3パーセントとなっている。
『アラブの春』と呼ばれる一連の革命は、チュニジアを発端としているだけに、チュニジアで最初に行われる選挙の結果は、今からアラブ諸国をはじめ、世界の関心の的になっている。
問題は、旧体制の残党、例えば内務省や軍が、イスラム教原理主義の政党である、ナハダ党が第一党になり、権力を掌握することを許すのか、あるいはこれを阻止する方向に、動くのかということだ。
エジプトの場合も、革命がほぼ達成された段階で、ムスリム同胞団が前面に出て、革命の果実を独り占めにしたかにみえるが、チュニジアの場合も同様に、ナハダ党が革命の最終段階で、その果実を横取りした感じがある。
革命に立ち上がった、最初のコアとなった青年層は、ナハダ党が権力を掌握することを放置するのか、あるいはこれに対抗して、立ち上がろうとするのか.その場合には内務省や軍との関係を、どうしていくのか、興味の持たれるところだ。
チュニジアの選挙は、来月末に迫っているだけに、ナハダ党潰しをやるのであれば、軍あるいは内務省が、早急に動き出す必要があろう。その場合、軍や内務省は、実際に革命を起こした青年層との関係を、どう構築していくのか。あるいはそれを考慮せずに、力で押し切って権力を掌握するのか、何とも予測ができない。
ただ、現段階で言えることは、チュニジアの国内政局が、相当に緊張を高めてきている、ということだ。その緊張の挙句には、暴発が起こることが、十分に予測される。チュニジアは当分危険信号、ということであろうか。