インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙が、興味深いニュースを、報じている。それによれば、カダフィ軍がアルジェリアから、大量の武器を調達し、リビア国内に持ち込んでいるということだ。
そのため、NTC(リビア臨時政府)は苦戦している、ということのようだ。このニュースが事実であるとすれば、アルジェリアはイギリス、フランス、アメリカ、イタリアを、敵に回す覚悟、出来ている、ということではないのか。
アルジェリアとフランスとの関係は、かつてフランスがアルジェリアを、植民地化に置いていたこともあり、必ずしもいい関係ではなかった。アメリカやイギリスについても、アルジェリアは革命で勝ち取った、独立国であることから、外国の介入には厳しい視線を、持っていることであろう。
リビアで起こった今回の革命は、その当初の段階から、イギリス、フランス、アメリカが、深く関与していたということは、地域の各国賀共通して認識している。多くのアラブの国々は、言を濁しているが、アルジェリアはその限りではなかった、ということであろうか。
したがって,NTCの軍司令官であるアハマド・オマル・バー二氏が言った、カダフィ軍がアルジェリアから武器を入手している、という情報はウソではあるまい。そうなると、これからのアラブ各国の立場に、何らかの変化が、生まれてくるかもしれない。
確かに、チュニジアに比べ、アルジェリアはカダフィ大佐の家族に対する、取り扱いでも、温かみがあるように感じられる。チュニジアはカダフィ大佐の家族が亡命してきたのを、受け入れはしたが、その後、冷たい反応であったのであろう。あるいは、カダフィ大佐の家族にとって、チュニジア国内に滞在することが、危険なものになっていたのであろう。
アルジェリア政府はカダフィ大佐の家族が、アルジェリア国内に留まることを、許可することを明らかにしている。つまり、身の安全を保証する、ということであろう。
ただし、アルジェリア政府はカダフィ大佐の家族が、政治活動をしないことを、その条件としたようだ。なかでも、カダフィ大佐の娘アーイシャ女史が、外国の報道に応えることを、禁じたようだ。
それは、これまでに既に、アーイシャ女史がシリアのアッラーイ・テレビで、反NTC 発言を行っているからであろう。今後、もし彼女が続けて反NTC発言をするようでは、アルジェリア政府としては、苦しい立場に立たされる、可能性があるからだ。
しかし、アルジェリア政府が黙認(?)の形であるにせよ、アルジェリアからカダフィ軍が、武器を調達してリビアに持ち込み、戦闘を継続することになれば、戦局は複雑さを増す、ということではないか。
NTC政府が今後、カダフィ派を長期間にわたって、抑え込むことができず、国民の生活が厳しさを増していけば、NTCそのものの安定度が、あやしいものになろうということだ。
他方では、リビアの解放地域で発見された武器について、参戦した各部族が、自部族の地域に持ち去り、NTCのコントロールが利いていない、という情報もある。それは、将来に対する不安からではないのか。リビアの戦局は再度難しい局面に、入ってきたということかもしれない。