ウイキリークスで流れた情報がもとで、アルジャズイーラの報道部長が首になった。アルジャズイーラといえば、歯に衣着せない報道で、アラブ世界ばかりか、世界中で人気になった、カタールのテレビ局だ。
そのアルジャズイーラ・テレビの報道局長の首が飛んだということは、おのずから重要ニュースとして、世界に伝わった。その裏には、ウイキリークスによる、情報漏えいがあったからだ。
その情報によれば、アルジャズイーラ・テレビのワダーハ・カンファル報道部長が、カタールのアメリカ大使から圧力を受け、イラク戦争報道に、手心を加えたというのだ。たとえば、婦女子が顔などが重傷を負った映像の放映が、さし止めされたことなどだ。
アルジャズイーラ・テレビの報道は、公平ではないという非難の声もある。例えば、シリアに関する国内動乱報道と、バハレーンの国内動乱に関する報道との間には、明らかに差異があるというのだ。
アルジャズイーラ・テレビがチュニジアの大衆蜂起や、エジプトの大衆蜂起を昨年末の段階から、誇大に伝えていたということも、話題になっていた。
今回、アルジャズイーラ・テレビのワダーハ・カンファル報道部長部長が首になったのは、アルジャズイーラ・テレビの最大スポンサーである、カタール王家の意向であろう。
そのことは、これまでのようなアメリカ政府による、直接的な圧力による報道の歪曲が、だんだん通用しなくなってきている、ということを意味しているのではないか。アラブ世界でも、パソコンの普及やモバイル電話などで、情報が大量に行きかう、時代を迎えている。
そうした中では、情報のコントロールが、極めて難しくなってきており、下手なやり方をすれば、かえって墓穴を掘ることにつながる、危険性があるということではないか。
アルジャズイーラ・テレビのワダーハ・カンファル報道部長の後継者に、どのような人物が就任するのか。その人物とアメリカ政府大使館は、どういう取引をするのか、あるいは、一切裏取引を止めるのか、興味深いところだ。いずれにしろ、今回のこのニュースは、『時代は変わった』ということを実感させるものだ。