リビアのカダフィ側が、未だにNTC(臨時政府)側と、激しい戦闘を継続しているようだ。もちろん、そうは言っても、カダフィ側が押さえている主要都市は少なく、彼らが相当に追い込まれていることも、動かせない事実だ。
NTC側はアラブ連盟の正式なリビア代表と認められ、国連でもそのような立場になったことを見ると、もうカダフィ側が勝利を手にする可能性は、無くなったといえるのではないか。
しかし、それでもカダフィ側には未だに、NTCに対し戦闘を継続できる、余地が残っているようだ。そうなるとNTCが、国際的に正式なリビア政府として認められた後も、リビア国内では戦闘が、継続されるということになろう。
もし、カダフィ側が一部の、リビア国内拠点をベースに、ベンガジやトリポリでテロ攻撃を展開するようなことになれば、リビア新政府としては、極めて不安定な状態に、置かれるということではないか。
以前にも書いたが、カダフィ側にはいまだに、十分な武器も、資金もあるはずだ。そうであるとすれば、NTC側の攻撃があいまいな状態で続けば、カダフィ側が攻勢に出る可能性が、十分にあるということだ。
最近、リビアから伝わってきたニュースでは、カダフィ側について戦う、民間人が出てきている、というものがあった。それは、カダフィ大佐がこの闘いを、植民地主義者(イギリスやフランス、アメリカ)との戦い、と位置づけていることによるのではないか。もちろん、単純に経済的メリット、生活の安定といったこともあろう。
トリポリでは水が不自由しているし、物価も上がっているという情報があるし、電力の供給にも問題があるということが、伝えられている。そうなると、トリポリ市民の間でNTCに対する、不満が出てくる可能性は十分にあろう。
欧米諸国が一日も早く、凍結されているリビアの金を、リビア新政府(NTC)に渡して武器を調達させ、生活を向上させなければなるまい。もし、リビアのカダフィ体制が欧米諸国に預けた金を、NTCに渡すことを遅らせれば、カダフィ側を有利にすることになる、ということだ。
大衆の支持と不支持は、紙より薄い差しかない。NTCの国民に対するサービスが、遅れれば遅れるほど、敵であるカダフィ側を、助けることになるのだ。その傾向は既に、エジプトで出てきているのだ。
1月25日にムバーラク大統領を追放したエジプトでは、革命後の市民生活が悪化しており、ムバーラクに対する再評価が、一部で起こり始めている。それと同じことが、リビアで起こらないという保証は、何処にもないのだ。