インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙が、興味深い記事を掲載した。それによれば、リビア国内では今、イスラミストが激増し、勢力を拡大しているということだ。
戦闘が始まった当初から、アブドルハキーム・ベルハッジなる人物が、軍司令官として台頭してきたが、彼はバリバリのイスラム原理主義者(イスラミスト)だということが指摘されていた。
カダフィ革命に初めから加わり、のちに袂を分かったアブドルファッターハ・ユーニス将軍を暗殺したのも、同族のイスラム原理主義者だったと言われている。
いまトリポリの議会で力を増しているのは、アブドルラーズク・アルハジャル氏で、彼もイスラム原理主義者だ。そして、アメリカに留学して経済学を学んだエコノミストのマハムード・ジブリール氏は、新政府の首相になるだろうとのもっぱらの噂だ。
しかし、マハムード・ジブリール氏がイスラム原理主義者について、批判的な意見を述べたところ、たちまちにして、アブドルハキーム・ベルハッジ氏の支持者が、マハムード・ジブリールは間もなく消えるだろう、と警告している。
サッラービーという名の人物もイスラミストであり、彼は政党を結成している。その政党はこれまで培ってきたイスラム組織の、基盤の上に出来上がっているだけあって、盤石だと言われている。
こうしたリビア国内での、イスラム原理主義勢力の台頭について、批判を寄せる人物もいる。例えば、ユーセフ・シャリ-フ氏がその一人だ。彼によれば、イスラム原理主義者たちの勢力は、日に日に拡大しており、将来的には大半を占めるだろう、ということだ。
あるリビアの世俗派の人物は、現在の状況について、イラン革命によく似ている、ホメイニ師が台頭した結果、それまで革命を担って生きた、他勢力が一掃され、イランはイスラム原理主義国家に、変わってしまった。
アブドルハキーム・ベルハッジ氏の組織が強化されていけば、タリバン支配当時のアフガニスタンのような国に、リビアはなるだろう。ムスリム同胞団組織や、イスラム原理戦闘組織が強化されることは、極めて危険だと指摘している人も存在する。
革命の戦闘が始まった当初から、イスラム原理主義者の参加が言われ、一部ではアメリカが、アルカーイダのメンバーをリビアに引き入れ、戦闘の前面に立てた、とも言われている。
アメリカやイギリス、フランスは、リビアがイスラム原理主義者たちによって、統治されることを望んだのであろうか。あるいは全くの計算違い、誤算の結果だったのであろうか。