「M・アッバースは何を考えているんだという怒りの声」

2011年9月22日

 パレスチナ自治政府の議長マハムード・アッバース氏は、大代表団を結成し、ニューヨークに乗り込んで行った。その費用はとんでもない金額に、上ることだろう。パレスチナ代表団は決して、質素なホテルには宿泊しない、一流のホテルに滞在し、好きなだけ食べ、好きなだけ飲むのが、通例になっている。

 他方では、毎日の食事大に事欠く、パレスチナ人が相当数いると言うのに、パレスチナ自治政府に最も強硬な、イスラエルのリーベルマン外相は『パレスチナ人の10パーセントが極めて裕福であり、残りの90パーセントは極めて貧しい環境にある。』と語っていたが、事実はその通りだ。

 まあ代表団の贅沢三昧に対する非難は、その程度にして、マハムード・アッバース議長は一体どんな戦略を持って、国連に乗り込んでいったのであろうか。来年に大統領選挙を控えているオバマ大統領が、イスラエルを敵に回すようなパレスチナ支持の立場を、採ることは100パーセントありえない。

パレスチナ自治政府が国連で正式に、国家として認めるよう要請しても、アメリカが安保理の場で、拒否権を発動することは、目に見えており、否決されることは確実だからだ。実際に、オバマ大統領はマハムード・アッバース議長に対し、拒否権を行使することを、正式に伝えている。

 そうした無駄な努力を、マハムード・アッバース議長がしようとしたのは、単に彼が任期中に、何らかの成果を上げたかったからだ、というのがアラブの評論家、専門家諸氏の一致した意見だ。

 しかし、この国連に対するパレスチナ国家の承認要請は、もし万が一、通過していれば、とんでもないことになったのだ。その辺の事情を、ハマース代表のマハムード・ザハール氏はおよそ、次のように語っている。

『国連で承認された国家は、テロ活動(民族抵抗闘争)を放棄しなければならない。一体どのラインを、国家の国境としようというのか。もし、67年時の境界を国境とするのであれば、それは、同時に、イスラエルの国家と民族を承認することにはなるが、パレスチナ難民の帰還する権利を、放棄することにもなるのだ。』。

何やらオバ大統領の冷たい拒否の言葉を、耳にしたからであろうか、マハムード・アッバース議長は緊急安保理で討議される前の、国連総会での討議に、この件を提案するのを、遅らせようと語り始めているということだ。

アメリカにへそを曲げられれば、パレスチナ自治政府に対する、アメリカの援助が止まるだけではなく、アラブ産油諸国からの援助も、滞ることになる危険性があるからだ。旨い酒を飲み、豪勢な生活の方を、彼らは選択したようだ。