EUがトルコ人に対して、やっとヴィザを免除する方向に、向かい始めたようだ。トルコ人に対するヴィザを、免除する方向でそのための作業を始める、とEUが最近になってトルコ側に伝えたのだ。
トルコがだいぶ前から、EUのメンバーになりたいと運動をしていたが、未だに条件が満たされない、ということで、メンバー国にはなれないでいる。しかし、ヴィザが免除されることになれば、事情は変わるだろう。
もう5~6年前であろうか、トルコで講演を依頼された折に、私は『オスマン帝国の末裔が、何故EUに加盟して、二等国民のなる必要があるか。』という内容のことを、語ったことがある。
その私の発言はトルコ人聴衆から、大いに受けたのだが、その後で親しいトルコ人が、次のようなことを語ってくれた。『我々がEU 加盟を、声高に叫んでいるのには、訳があるんだ。
EU に加盟するためには、トルコ国内で民主化を、進める必要がある。軍が必要に応じて、クーデターを起こす権利を持っているが、それがEUに加盟できていない、理由の一つなのだ。我々はEU 加盟を希望するということで、軍の力を制限したい、と思っているのだよ。
トルコ国民の多くが、EU加盟を希望しているから、EU加盟は軍を抑え込む、いい口実になるんだ。我々が望んでいるのは、EUのメンバー国になるよりも、ヴィザが免除になることなんだ。』
それを聞いてなるほどと思った。軍を抑え込むために、EU加盟を声高に叫んでいるのか、と納得がいった。しかし、ヴィザについては喫緊の問題であり、一日も早い免除の決定が出ることを、望んでいるということだ。
あるトルコの友人は、日本トルコ間の航空券は割高だ。それはヨーロッパ経由に、乗れないからだ、と語っていた。トルコ人がヨーロッパ経由で、日本に入ろうとすると、ヨーロッパの経由国のヴィザを、取る必要がある、というのだ。したがって、トルコ人は割高なダイレクト便の航空券を、買わざるを得ないのだ、と語っていた。
トルコ外務大臣のダウトール氏は、元マレーシアの国際イスラム大学に、在籍していたことのあるアジア通だ。トルコ政府内ではそのこともあり、ルック・イーストの雰囲気がある。
日本がそうした好意的な雰囲気があるうちに、トルコとの関係を確実なものに、しておくべきであろう。トルコの友人たちは『日本との関係は片思いなんだよなあ。』とも語っている。トルコのような真の友人は、大事にすべきだ。