リビアの革命闘争で、犠牲になった人たちの話が伝わってくる。確かに相当数の人たちが、犠牲になっている。リビアの臨時政府(革命派)の発表によれば、犠牲者の数は2000人を超えたということだ。600万人の国民人口を考えると、20000人という数は決して少なくない。
しかし、アラブで起こっている悲劇は、リビアだけではない。イラクではアメリカ軍の侵攻から、8年半が経過した今なお、毎日数十人の人たちが、死傷しているのだ。シリアではデモ隊と、これを取り締まる側の警察や軍人の中に、何十人もの死者が出ている。
イエメンも同様に、反政府デモとこれを押さえる軍警察との間で、犠牲者が何十人規模で出ているのだ。しかも、イエメンでは南部の部族や、イスラム原理主義者と軍との衝突で、多数の犠牲者が出ているが、その正確な数は分からない。
一旦落ち着いたかに見える、湾岸の王国バハレーンでは、相変わらず反政府抗議行動が続いているし、バハレーン政府はサウジアラビアばかりではなく、パキスタンに対しても、支援兵の派遣を要請しているようだ。
ヨルダンでも死者が出たという報告は無いが、負傷者が出ていることは伝わってくる。
アラブは多くの国で、一番楽しい神聖なラマダン期間にもかかわらず、悲劇が続いているのだ。本来であれば、ラマダン月はお互いが招待しあって、エフタール(一日の断食の終わりの食事)を楽しんでいるはずなのだが。
後m2~3日でラマダンが終わり、イードルフィトルの祭日が来る。子供たちは新しい服を買ってもらい、大人たちもおしゃれをして、モスクに向かうのだが、今年はそんなイードルフィトルを楽しめる国は、少ないのではないのか。
アッラーの与えた試練と、アラブのムスリムたちはこの状況を、受け止めるのであろうか。