リビアの次の政権を担うのは誰か、という疑問が、今多くの人たちの脳裏を、駆け巡っているであろう
述べるまでも無いが、その第一は現在世界的に知られている、臨時リビア政府の代表者である、ムスタファ・アブドッジャリール氏であろう。彼は元リビア政府の閣僚で、冷静な判断と発言をする人物であることが、話し方などから感じられる。
ただしこういう人物は極めて厳しい性格の、持ち主ではないか。新政府の幹部やリビア社会でいざこざが起こったら、即座に辞任するとも語っているようだ。その通りに行動すると思われるのと同時に、自分だけではなく他の人に対しても、厳しい対応するのではないかと思われる。
王制時代の閣僚の子息であるアハマド・シェイバーニ氏も、新政府で然るべき重要ポストを、狙っている人物の一人であろう。彼は外国との関係で、自分の地位を確保しようと思っている様子が、伺えることから、賢い人物ではあるが、やがて失脚するのではないか、という危うさを感じる。
もう一人は、アメリカから帰国した人物だ。彼はカダフィ大佐に嫌われ、チャドに長い間、派兵されていたハリーファ・ヘフタル大佐だ。チャドから他のアフリカの国に移動した後、彼と彼の部隊をアメリカが受け入れ、20年もの間バージニアで国防省CIAに匿われていた。
そのハリーファ・ヘフタル大佐が内戦勃発と同時期に、リビアのベンガジ市に戻っているのだ。しかし、その後、不思議なことに彼の名は、全くリビアから聞こえてきていない。
そのことは、今後然るべき時期が来たときに、彼が登場してくる可能性がある、ということではないか。それまでは、彼のイメージに傷がつかないように、アメリカが隠しカードとして、温存しているのかもしれない。
そしてもう一人、リビア王国の皇太子であった人物がいる。彼の名はムハンマド・アッサヌーシー氏(49歳)だ。彼は1986年までリビアに住んでいたが、その後アメリカ、イギリス、フランスなどに居住していた。
彼はリビア王国最後の国王、イドリス・アッサヌーシー国王の弟、ハサン・アッサヌーシー氏の子息だ。
今度の革命騒ぎのなかで、彼はヨーロッパ議会に呼ばれ証言しているし、イギリスやフランスの大使とも話し合っている。つまり、この人物も今後、リビア政治に登場してくる可能性がある。
革命の段階で王制時代の国旗がはためいたのを見て、感動したと語り、彼はリビアの発展と民主化に貢献したいと語っている。