クウエイトが進めている、メガ・ポート建設で、イラクが調査団を送り、実態を調べたようだが、明確な結論はまだ発表していない。このメガ・ポート建設は、イラクの主要港につながる、ブビヤン島で建設が進められているのだ。
ブビヤン島にメガ・ポートを建設するということは、イラク側からすれば、死活的な問題ということになろう。ペルシャ湾からイラクの主要港である、ウンム・カスル港に至るには、このブビヤン島の東部から北部の、狭い水路を通過しなければならないからだ。
このメガ・ポートはムバラク港と命名され、四段階で完成ということのようだが、第四段階の工事が行われると、ウンム・カスル港に至る船舶が、影響を受けるということだ。
そうでなくとも、大量の船舶が航行する狭い水路で、クウエイトが巨大な港を建設し、そこを貿易の拠点としたい、ということだろうが、イラク側からすれば、自国の石油輸出の上でも、戦後の国内再建の上でも、大きな障害になるということであろう。
イラクはクウエイトが第三段階で止める分には、文句を言わない方針のようだが、クウエイト側がすんなり第三段階で、工事を止めるとは思えない。
以前、イラン・イラク戦争が終わった後、クウエイトはイラクに対し『ベニスの商人』よろしく、イラン・イラク戦争で貸した金を返せと息巻き、最終的にイラク軍が軍事侵攻した、といういきさつがある。今回もクウエイトは強気で、イラクに対応するのではないか。
この問題に関連し、イラクのサドル師が、興味深い発言をしている。彼はイラクの領土を、いかなる近隣諸国への、攻撃のベースにしてはならない、と語っているのだ。述べるまでもなく、この場合の近隣諸国とは、クウエイトを指しているということだ。
しかし、サドル師の発言には続きがある。『アメリカ軍がイラクに駐留している間は』ということだ。確かにそうであろう。アメリカ軍がイラクに駐留している間に、イラクがクウエイトに軍事進攻することになれば、アメリカ軍は直ちにそれを、阻止する動きに出るからだ。
サドル師の言わんとするところは、もう少し我慢して待て、ということではないか。クウエイトのブビヤン島に建設中の、ムバラク港(メガ・ポート)は将来に向け、大問題になっていく危険性の高いものだ、ということを強調しておきたい。