リビアの内戦に、なかなか決着がつかないことに、しびれを切らした外部の人たちの間から、反政府派はカダフィ体制を打倒す気が本当にあるのか?反政府派は軍事トレーニングを受けていないから、戦闘の仕方がわからないのではないか?などといった意見が出ていた。
これに対し、反政府派が主張していたのは、武器の不足、ガソリンなどエネルギーの不足、資金の不足などであった。しかし、これらは批判する側も、反政府側も皆、核心を突いていないか、語っていないのではないか。
戦闘が始まったとされる時期、欧米マスコミはカダフィ側が、国民を虐殺していると激しく非難していた。これにアル・ジャズィーラ・テレビやアル・アラビーヤ・テレビも賛同していた。
アラブの放送局から、現地にいる人たちが送った、携帯電話の映像や、現地で撮ってきた映像が流されるのを見ていると、どうもカダフィ側が撃っていたのは、実弾ではなく催涙弾だったような気がする。
最近、トリポリ包囲網がほぼ完成し、後は時間の問題で、カダフィ大佐が死闘を展開し、戦死するのを待つのみ、というニュースが伝わってくる。アメリカ政府はカダフィ大佐の運命は、あと数日残されているだけであろう、と語っている。
しかし、実際はそうではなかろう。トリポリがほぼ反政府側によって包囲された今、反政府側はトリポリ侵攻を嫌がっている。それはカダフィ大佐側が徹底抗戦に出た場合、トリポリ市とその周辺で、膨大な数の犠牲者が、出ることが明らかだからだ。
つい最近、カダフィ大佐側によって、初めてスカッド・ミサイルが発射された、というニュースが伝えられた。そのニュースによれば、スカッド・ミサイルは砂漠に到達し、誰も犠牲にならなかったということだ。
何故カダフィ大佐側は、今までスカッド・ミサイルを発射しなかったのか?何故もっと発射しないのか?
つまり、カダフィ大佐側も反体制側も、同じリビア人なのだ。だから本心では戦闘を続けたくない、リビア人の犠牲をこれ以上増やしたくない、ということではないのか。
最近、カダフィ大佐側が大金を、南アフリカに移送した、という情報が伝わり、カダフィ大佐と家族が、南アフリカに亡命するのではないか、という情報が伝えられている。
それに対し、反政府側はカダフィ大佐の亡命を認めるし、その後の安全を保証するよう、手配すると語っている。つまり、トリポリの天王山の戦いはやりたくない、何とかカダフィ大佐に退陣願いたい、ということであろう。
しかし、カダフィ大佐はシンボルであってもいいから、リビアに留まりたいと望んでいる。彼が病気だという情報も、流れ始めている。何とか再度の体制側反体制側の話し合いの、機会を作り仲介を行う国は、出てこないものか、それが今できるのは、トルコだけかもしれない。