クウエイトが2007年から建設を始めた、メガ・ポート(正式名称はムバーラク・アルキャビール・ポート)について、イラクのシーア派のヘズブラが、警告を発している。このメガ・ポートは2016年に完成の予定だが、そうなるとイラクにとっては、ペルシャ湾への出口にあるだけに、海路が制限されるということであろう。
クウエイトとイラクの国境に位置する、クウエイト領のブビヤン島で、建設が進められているのだが、建設を請け負ったのは韓国の企業だ。韓国の企業はイラク国内でも、同様の警告を受けており、今後の対応が注目される。
イラクのマリキー首相はこの件に関して、クウエイト側からは説明を受けておらず、メガ・ポートの建設については、第三者経由で聞いている、とコメントしている。つまり、マリキー首相は国内の反応を十分考慮したうえで、正式なコメントをするということであろう。
クウエイト側はこのメガ・ポートの建設については、イラクの専門家の代表団を今年の5月に受け入れ、現場を視察させており、加えて、近く第二の代表団を受け入れ、詳細について質問を受けることになっている、と語っている。
つまり、クウエイト側はイラク側が正式に、このメガ・ポートの建設を、受け入れている、と主張したいのであろう。クウエイト側の説明によれば、同港の建設によって、環境が破壊されることはなく、イラク・クウエイト両国の経済発展に、寄与するものだということだ。
もし、イラクのシーア派組織ヘズブラが、建設現場に対して攻撃を加えるようなことになれば、イラク・クウエイト両国の大問題となろう。最近のアラブ各国の動きは、過激になっており、しかも、自国の国益を最優先する傾向が、強くなってきている。
したがって、このヘズブラの警告は単なる警告ではなくなる、危険なものだと受け止めるべきであろう。問題が本格的になる前に、第三国の仲介によって、解決の方向に導くべきではないのか。