今年の7月23日に、テヘランの自宅を出た科学者が、何者かによって銃撃され、死亡するという事件が起こった。その前にも、昨年2人の科学者がテロに会い、一人が死亡し、一人は彼の妻とともに、負傷を追っている。
こうした暗殺事件について、イランは繰り返しイスラエルのモサド、アメリカのCIA、イギリスのMI6の犯行と、非難してきている。7月の場合も同様にイスラエル、アメリカイギリスによるものだ、と非難していた。
イランがイスラエルやアメリカ、イギリスの情報機関が真犯人だ、と主張することには、何ら驚かないのだが、今回は、ドイツのデルシュピーゲル誌が、イスラエルのモサド真犯人説を唱えている。
デルシュピーゲル誌の主張によれば、今回の暗殺事件は、新たにモサドの長官に就任した、タミル・パルド氏の指揮による、作戦であったというのだ。その目的は述べるまでもない。イランの物理学者を中心に、科学者を暗殺することで、核開発を遅れさせることに、目的があるというのだ。
今回のデルシュピーゲルの報道については、幾つもの興味が湧いてくる。これまでドイツは、ホロコーストのことがあったために、イスラエルに対し、極力批判をしないで来ていた。
今回、デルシュピーゲル誌が、イスラエルのモサド犯行説を唱えたのは、その意味で歴史的な変革、とさえいえるものではないか。
デルシュピーゲル誌が流した情報は、当然、ドイツの情報機関から出たものと思われる。そのことを、ドイツの情報機関はマスコミに流すように、なったということであろう。
あるいは、もしドイツの情報機関でなければ、他のヨーロッパの国の情報機関からの、情報ということになるが、その場合もやはり、大変化といっていいのではないか。
多分、今回の情報をデルシュピーゲル誌に流したのは、ドイツの情報機関であろう。つまり、ドイツを始め、ヨーロッパ諸国はやっと、ホロコーストというモンスターから解放された、ということであろうか。
もしそうだとすれば、今後、イスラエルとユダヤ人に対する、猛烈な反撃が始まるのではないか、と懸念される。このニュースは、イランのプレス・テレビによって流されたのだが、今までのところ、イスラエルのマスコミでは流れていない。あるいは私が、気付かないだけなのかもしれないが。