「感情論だがイギリスは中東を支配しているのか」

2011年7月27日

 最近とても耳障りなニュースが流れてくる。それはイギリスやフランス、イタリアといった国々が、あたかも、中東諸国の本当の支配者であるかのように、中東の国々の内政に介入し、国家元首の将来について、語っていることだ。

 同時に、リビアの場合を例にとると、非常に早い段階から、反カダフィ派に対し武力行使をそそのかし、戦闘状態に入らせている。これでは、リビアの体制派と反体制派が、話し合いによって問題の解決を図る時間が、ほとんどなかったのではないかと思われる。

 加えて、イギリスとフランスは、カダフィ派の拠点を空爆してもいる。そしてこの空爆作戦には、アメリカも無人機を使って参加している。フランスは反カダフィ派に対し、武器を空輸してもいるのだ。

 そもそも、イギリスやフランスがリビア問題に介入し始めたのは、カダフィ派が反カダフィ派の人たちを虐殺しているから、それを阻止するためだ、と説明していたが、現段階ではイギリスやフランスの、空爆による犠牲者の方が、多いのではないか。

 しかし、イギリスとフランスの作戦は、必ずしもうまくいってはいないようだ。反カダフィ派がいまだに、決定的な勝利を収めていないため、カダフィ派の巻き返しが、あちこちで起こっているのだ。

 業を煮やしたイギリスやフランス、そしてイタリアは、カダフィが権力さえ放棄したら、リビア国内に残ってもいいと言い出した。つまり、これ以上戦争を続けるのは、経費がかさみ過ぎる、と考えたのであろうか。

 あるいは、イギリスとフランス、そしてイタリアのリビア問題への介入について、正統性がないという意見が、国際社会の中で拡大してくることを、恐れたためであろうか。

 いずれの理由があるにしろ、反体制派に対し、勝手に攻撃をそそのかし、自らも攻撃を加えたうえで、カダフィ大佐といえども、一国家元首に対して自国にとどまっていいという権利が、何故イギリスやフランスにあるというのだろうか。

リビアも国家の主権を持った国のはずだが、これではいまだに、リビアはイギリスの植民地下にある、ということではないのか。カダフィ大佐の人となりはさておいて、これはどう考えても、無茶な話ではないか。

 もっといやらしい話もある。カダフィ大佐やシリアのアサド大統領は、痛めつけるだけ痛めつけたうえで、統治を続けさせる方が欧米の利益につながる、という考えだ。そうすれば、欧米は何時でもこれらの国に再介入でき。脅しが掛けられ、両国の国民を味方につけることが、出来るということだ。簡単な話なのだが、見えない人には見えないだろう。