イスラエルのコマンド部隊が、レバノン南部の領土に進入した、というニュースが伝わってきた、しかし、あまり派手な動きはせず、イスラエルのコマンド部隊が実践の緊張感を、体験することに目的が、あったのかもしれない。
イスラエルは2006年のヘズブラとの戦争以来、本格的な戦闘体験を持っていない。つまり、平和なぬるま湯の中での生活が、既に5年も続いているということだ。その間には、現役だった指揮官の何人もが、既にリタイヤしているものと思われる。
そのために、実戦に近い緊張感を体験させることにより、イスラエル兵と指揮官に、実戦に向けての度胸をつけ、そのなかでの冷静さを保つことを、実感させようとしたのではないか。
イスラエル政府がこうまでもして、実戦に備えなければならないのには、それなりの理由がある。イスラエルとレバノンのヘズブラとの間で、戦闘が起こり、それが戦争規模にまで、拡大する危険性があるのだ。
現在、イスラエルとレバノンとの間には、海底ガス資源をめぐり、利害の対立が発生しており、それが何時戦争状態まで、発展するか分からない。
加えて、アメリカ政府はヘズブラ・メンバーが、レバノン政府から離脱しない限り、援助を削減すると言い出している。また故ハリーリ・レバノン首相の暗殺では、ヘズブラのメンバーが容疑者だ、と断定してもいる。つまり、アメリカ政府はヘズブラを、危険なテロ集団とみなし、これをレバノン政府内部から、排除しようという意思を、明確に伝えているのだ。
そのことは述べるまでも無く、イスラエルの利害と一致しているのだ。したがって、ヘズブラのアメリカの立場に対する反発は、イスラエルに対する反発と同じ意味を持ち、実際に武力衝突が起こるのは、アメリカが相手ではなく、イスラエルということになる。
シリアの内紛への直接間接的な、アメリカとイスラエルの関与も、ヘズブラにとっては極めて、不愉快なことであろう。イランに対するイスラエルとアメリカの、核兵器開発非難もヘズブラには、不快であろう。そうであるとすれば、イスラエルはヘズブラが突発的に、仕掛けてくるかもしれない戦争に、備える必要があるということだ。
しかも、そのヘズブラは2006年に起こった、イスラエル・ヘズブラ戦争の時期よりも、多くの兵器を揃えており、何倍も強化されているというのだ。そのため、次に起こるイスラエル・ヘズブラ戦争では、イスラエルのテルアビブ市に到達できる、ミサイルが何十発も発射されることを、想定しなければなるまい。
だからこそ、イスラエルはレバノン南部に軍事侵攻し、相手の反応を見たのであろう。もちろん、そのことはヘズブラに、戦闘意志を固めさせることにも繋がるのだが、、、。悪循環とはこういうことを言うのだろうか。