「エジプト現軍幹部も政治に影響力持ちたい」

2011年7月21日

 革命(クーデター)が達成されてから、すでに5ヶ月目を迎えるエジプトでは、国会議員選挙がいま大きな、国民の間の争点になっている。それが民主的に行われるのかが一つ、もう一つは、憲法の改正前か、改正後かということだ。

 当初、憲法改正前に選挙を実施する、という案が主流を占めていたが、次第に憲法の一部を改正した後に、選挙という意見が、主流になってきている。この憲法が先か、選挙が先かということは、実は重要な点なのだ。

 もし選挙が先に行われれば、選挙日は早くなり、組織力のあるムスリム同胞団にとって、有利なものとなろう。その結果が出た後で、国会で憲法改正が討議されれば、ムスリム同胞団に都合のいい憲法が、出てくるということになろう。そうなったのでは、世俗派の国民は、動きが取れなくなってしまう、不安がある。

 どうやらこの段階にきて、軍幹部が選挙に大きく影響を、及ぼす気配が出てきた。エジプト軍にしてみれば、1952年に起こったナセルの革命以来、エジプトの歴代の大統領職に就いたのは、軍の幹部だったからだ。ナセル大統領もサダト大統領も、ムバーラク大統領も軍の出身者だったのだ。

エジプトの軍部はムスリム同胞団の抑え込みにも、かかり始めたのではないかと思われる。軍幹部は今回の選挙で、アメリカ方式を採り入れようと、考えている。つまり直接投票で議員を選出すると同時に、政党支持を書かせ、その得票数で議席を、割り振るという方式だ。

 同時に軍幹部は、女性や農民、青年などのための、特別枠も設ける方針を、検討しているようだ。これは国民からの、直接的な軍への支持を、得ることができるだろう。

 エジプトの軍幹部の間では、軍が最終的には国家の安全と、民主主義を擁護する立場を、確保したいということであろう。それは、かつてのトルコにおける軍の立場と、似通ったものではないか。

 そのことは、エジプトがやっとトルコが目指してきた、世俗的民主化への移行を、始めたということなのかもしれない。トルコでは最近になって、国家の護持者であった、軍の影響力が抑え込まれ、より一層民間による民主的な、形が整いつつある。

 エジプトの政体も、一日でも早い独自の民主的なスタイルを、確立してほしいものだ。