サウジアラビアは周辺諸国の動向に、極めて敏感に反応する国だ。それは体制維持の上で、当然のことかもしれない。しかし、度が過ぎるといらぬ軋轢を、周辺諸国との間に、生んでしまう場合もあるだろう。
以前ご報告したように、バハレーンに対する介入や、イエメンに対する介入は、サウジアラビアにとって、どの程度の重要性を持っていたのか、部分的に疑問が湧く。それほど、サウジアラビア政府は体制維持に、不安を感じているということでもあろうか。
今回は、サウジアラビアがイラクにテロリストを送り込んで、テロ活動を実施している、というニュースだ。このことは、だいぶ前から情報関係者に間では、話題になっていたが、ここにきてそれが、目に余るほどになったということであろうか。あるいは、イランとサウジアラビアとの関係が、険悪になってきたためであろうか。
イランのプレス・テレビが報じたところによれば、サウジアラビアはイラクに対し、2003年の段階から、テロリストを送り込み、テロ活動をしているということのようだ。
それは、イラクにシーア派政権ができることを、阻止したいという意向に始まり、最近では、シーア派政権に対する、破壊工作に変わっているのであろう。イラクのシーア派政権に対する、敵対行動となれば、イランにとっては極めて、不愉快なことであろう。
イランはこの情報を流す中で、サウジアラビアがイラン・イラク関係を壊すことを考えている、とまで言い切っている。確かに、以前からサウジアラビアはテロリストを訓練し、資金と武器を与えて、イラクに送り込んでいる、といわれてきていた。
今後、このサウジアラビアの動きが、イラクやイランとの関係に、どう響いてくるか、注目する時期が来たようだ。